調整式のアイドルギアがミソ! カムギアトレインの組み付け|OS技研 TC24-B1Z 誕生から完成までを追う 最終回【2】

TC24-B1Zがいよいよ完成!

       
【1】から続く

6回にわたってTC24-B1Zの製造工程を紹介してきたが、今回が最終回。
ヘッドまわりのカム&バルブタイミングの調整、カムギアトレイン、補機類を装着していくが、緊張感をもってパーツを組み込む姿は、まさに真剣勝負。
その結晶となる9000rpmを許容するモンスターエンジンが誕生する。

【OS技研 TC24-B1Z 誕生から完成までを追う 最終回 Vol.2】

 カムシャフトを装着したら、次はいよいよTC24-B1Zで採用されたカムギアトレインの組み付けだ。OS技研のTC24-B1Z用のギアトレインのギアは全9枚。クランクからIN/EXのカムシャフトに付くカムギアに回転動力を送る。組み付けは下から上への順。シリンダーブロックに付ける下4枚のギアは、あらかじめボックスに組まれており、まずはこれをシリンダーブロックにセット。さらにアイドルギアを装着し、ヘッド側のギアを組み付ける。なお、TC24-B1Zのギアトレインは、中間地点に位置するアイドルギアが調整式であるところがミソだ。レーシングエンジンは、ヘッドやブロックが面研されることが多く、寸法が変化することが多い。調整式のアイドルギアによって個々のヘッド、ブロックのサイズに対応するもので、常に最適なバックラッシュで正確な回転動力を伝達できるシステムになっている。

 続いてバルブタイミングを調整する。まず、高精度なダイヤルゲージをセットし、バルブリテーナーの上部に端子を当てる。次にクランク軸に全円分度器を取り付け、IN/EXとも規定値に合わせる。全円分度器は、径が大きくなるほど計測精度が高まる。TC24-B1Zのバルタイ調整に用いられる全円分度器は、バルタイ調整に使われる一般的なモノよりもかなり大きめだ。インテークマニホールドを取り付けて、ヘッドカバーを被せたところでエンジン本体の組み立ては、ひとまず完成。以降は補機パーツの装着となる。


>> 【画像32枚】TC24-B1Zの組み立て作業。その最終工程はカム&バルブタイミングの調整、カムギアトレイン、補機類の装着と進む



【ギアトレインを組み付ける - 1 】
TC24-B1Z用に開発されたギアトレインのギアは9枚構成。下5枚がシリンダーブロック側(クランクからの1段目は2枚重ね)、カムギアを含む上の4枚がヘッド側に付くギア。下から6枚目のアイドルギアはその中継的な役割を持つ。





【ギアトレインを組み付ける - 2 】
チェーンやベルトと違い、ギアトレインは高回転域でも伸びによる狂いがないのが最大のメリット。中間のアイドラギアは、ヘッドやブロックを加工した場合の調整機能を果たす。





【ギアトレインを組み付ける - 3 】
カムギアトレインの下4枚はあらかじめボックスに固定されている。まずは、最下部のギアをクランクギアに噛み合わせて、ボックスをシリンダーブロックに固定。





【ギアトレインを組み付ける - 4 】
アイドルギアを組み付け、最上段のギアをセットしたら完了。






【バルタイを調整 】
ギアトレインを組み付け、カムギアをセットしたら、バルブタイミングを合わせる。調整精度を高めるために、大型の全円分度器が使われる。



【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード vol.022 2019年11月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

OS技研 TC24-B1Z 誕生から完成までを追う 最終回(全3記事)

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text : ISAO KATSUMORI(ZOO)/勝森勇夫(ズー) photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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