「スカイラインは、光り輝く存在でなくてはいけない」R32スカイライン開発主管・伊藤修令スペシャルインタビュー

R32スカイラインの開発主管を務めた伊藤修令さんと、今も乗り続けている愛車のR32スカイラインGT-R

       

グループAを制覇するためのGT-Rの復活

長い時間、スカイラインを見続けてきた人間でなければ、この発想原点には立てなかっただろう。逆に、細かな技術論にとらわれず、スカイラインの本質だけを見続けたことが、R32成功の要因になった。

「走りの性能を証明する最も手っ取り早い方法はレースで勝つこと。スカイラインGTのブランドは、こうして作られ市場で認められてきました。そして、改造制限がありベース車両の基本性能が問われるグループA規定のツーリングカーレースが、世界規模で行われていて、まさにスカイラインにとってふさわしい舞台。となれば、レース用のモデルは当然GT‐R。グループAを制覇する目的でGT‐Rの復活を計画しました」

これほど思い切った手を打ってきただけに、開発途上で社内的な問題や障壁にも行き当たったはずだが「それをなんとかするのが主管の仕事ですから」と伊藤さんは笑って多くを語らない。

「もう27年もたちましたか……」と時の流れに目を細める伊藤さん。その姿から、R32スカイラインがいまだに色あせない理由が分かった、それはスカイラインの本質をついているからだ。


スカイラインについて語ってくれた、R32スカイライン開発主管の伊藤さん。
伊藤修令(いとう ながのり)
1959年にプリンス自動車工業の前身、富士精密工業に入社。以後、スカイラインの生みの親、櫻井眞一郎さんのもとでシャシー設計を中心に手腕を奮う。日産との合併後はマーチやローレル、レパードなども手がける。R32開発後はオーテックジャパン常務理事やニッサンモータースポーツインターナショナルのテクニカルアドバイザーなどを歴任。

初出:ハチマルヒーロー2017年1月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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text: AKIHIKO OUCHI/大内明彦 photo: RYOTA SATO/佐藤亮太

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