「意地でも修理して乗ってやろう」 解体屋で見つけた動かないクルマ。特徴的なウインカーポジション|1959年式 ダットサン1000【2】

ウインカーがフロントフェンダー上部に取り付けられている。明るい光源なので、フェンダーミラーとは相性が悪いという


【1959年式 ダットサン1000vol.2】

そして時はたち、多くの人がその存在を忘れそうになっていた70年代。オーナーは解体屋でダットサン1000を見つけたという。

「いつも通る道にあった解体屋さんで見つけて、約8万円だったと思います。動かなかったので、みんなで押して、トラックに積み込んだのを覚えています」

動かない解体屋のクルマに対して不安はなかったのだろうか。

「クルマが好きだったんで、若い頃は自動車修理工場で見習いをしていました。だから、不安はありませんでした」

不動車両ではあったが、「やっとクルマを買えた」という思いから、意地でも修理して乗ってやろうという強い意思が芽生えていた。クルマと向き合っている時間も楽しかったという。

後付けヒーターなど、快適装備も追加。ハンドルの遊びが大きかった時は、ステアリングギアを分解して、自身で調整している。時にはツーリング中であっても、修理をしてしまうことも。

「湯河原にドライブへ行った時、大和トンネルでエンジンが止まってしまったんですよ。妻と一緒でしたが、助手席に妻を残して、街にパーツを買いに行きました。ようやく見つけた自動車パーツ商でイグニッションコイルを買って、自分で修理したこともあります」

【画像18枚】解体屋で見つけた不動車だったが、「やっとクルマを買えた」という思いが強かったという。ランドセルと呼ばれた特徴的なリアの意匠が目を引くダットサンB110の後ろ姿。 オールペイントを施した時にメッキパーツの再メッキも行なっている



>>ナンバー灯カバーにダットサンの文字。メタルのカバーに抜き文字となっていて、赤い透過素材が張ってあるので、夜は文字が赤く光る。


>>やや中央寄りに配置されたペダル類。下のボタンはハイビームの切り替えに使う。



1958年式ダットサン1000(B210)

全長(mm)
3860
全幅(mm)
1466
全高(mm)
1535
ホイールベース(mm)
2220
車両重量(kg)
925
エンジン型式/種類
C型/直列4気筒OHV
総排気量(cc)
988
最高出力(ps/rpm)
34/4400
最大トルク(kgm/rpm)
6.6/2400
サスペンション前/後
リーフ/リーフ
ブレーキ前/後
ドラム/ドラム
タイヤ
5.50-15-4P



初出:ノスタルジックヒーロー 2019年 8月号 Vol.194

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1959年式 ダットサン1000(全3記事)

関連記事:1950年代の旧車たち

【3】に続く

TEXT:KEISHI WATANABE/渡辺圭史 PHOTO:MASAMI SATO/佐藤正巳

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