「ただ乗り続けていただけ」オーナーにとって、長年乗り続けてきたダットサンは「古いクルマ」ではないのだ|1959年式 ダットサン1000【3】

ランドセルと呼ばれた特徴的なリアの意匠が目を引くダットサンB110。 オールペイントを施した時にメッキパーツの再メッキも行なっている


【1950年代の旧車たち 1959年式 ダットサン1000vol.3】

そんな経験からか、クルマの中にはレスキュー用の道具が載せられている。もちろん交換パーツも常備。インパネ部分の時計はアンメーターに交換され、バッテリー上がりのチェックをしている。これにも理由がありそうだ。

「高尾山にドライブに行った帰り、バッテリーへの充電ができなくなったんです。ライトをつけるとバッテリーが上がってしまうので、ライトを消して帰ってきましたよ。当時は真っ暗だったんで、道端でクルマが来るのを待って、通りかかったクルマのライトを頼りに走って帰ってきました。その苦い経験から、バッテリー状態を確認できるアンメーターをつけたんです」

「ただ乗り続けていただけ」と謙遜するオーナー。その長いクルマとの付き合いの過程には苦労もあったようだ。しかし、クルマと向き合うことを楽しみ、ツーリングに活用するなど、遠出もいとわない。充実した旧車ライフを送ってきたことがよく分かる。

【画像18枚】長いクルマとの付き合いの過程には苦労も多かったようだが、充実した旧車ライフを送っているというオーナー。室内、センターの足元にあるのが後付けのヒーター。効果は高く、冬でも暑いぐらいだという。インパネ中央にはバッテリーの状態を確認するアンメーターが取り付けられている


>>ブレーキマスターシリンダーはB10サニーのダブルタイプに変更されている。あとはノーマルの状態を維持。エンジンを下ろしてのメンテナンスも自身で行なっているという。


>>メンテナンス用ライトが取り付けられている。コードが伸びるので奥まで照らすことができる。


>>ドアの内張りはビス留めされ、小物を収納できるポケットが付いている。





自身でコツコツと修理を重ね、長年乗ってきただけというオーナーにとって、ダットサンは古いクルマというイメージが薄い。一緒にクルマライフを楽しんできた相棒のような存在で、ダットサン1000をいたわりながら、乗り続ける姿が美しい。北海道などの遠出もするというが、高速を使うことなくのんびりと旅をしているそうだ。


1958年式ダットサン1000(B210)

全長(mm)
3860
全幅(mm)
1466
全高(mm)
1535
ホイールベース(mm)
2220
車両重量(kg)
925
エンジン型式/種類
C型/直列4気筒OHV
総排気量(cc)
988
最高出力(ps/rpm)
34/4400
最大トルク(kgm/rpm)
6.6/2400
サスペンション前/後
リーフ/リーフ
ブレーキ前/後
ドラム/ドラム
タイヤ
5.50-15-4P



初出:ノスタルジックヒーロー 2019年 8月号 Vol.194

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1959年式 ダットサン1000(全3記事)

関連記事:1950年代の旧車たち

【1】【2】から続く

TEXT:KEISHI WATANABE/渡辺圭史 PHOTO:MASAMI SATO/佐藤正巳

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