S600疑惑!? 「ほんとうにS500なんですか?」という疑問に答える!|ニッポン名車物語 復活編 ホンダS500 第15回【1】

そもそもこの個体は、20年くらい前にボンネットやトランク、ドアを新品に交換して塗装。その後ディスプレーとして、あるディーラーに展示されていた。長い年月保管されていたが、かなり腐食している。フロント部や前後のタイヤハウス周辺は特にひどい状態だ。そのため2014年に最初のレストアを行っている。このボディはオーナーが所有する部品取り車のもの。

       
ビンテージカーヨシノによる名車復活の新プロジェクト「ホンダS500の復活計画」がスタートしたが、前回の記事を見た読者の方々から「ほんとうにS500なんですか?」という質問があり、今回はこのクルマの素性をもう少し具体的に解説することと、ビンテージカーヨシノの見立てによる要注意の作業ポイントをリポートする。

【ニッポン名車物語復活編 第15回 vol.1】

前回はS500の完全復活計画がスタートしたことをお知らせした。読者の皆さんから「それってS600なんじゃないの?」というご指摘があり、今回はこの個体が正真正銘のS500であることの説明と、これからビンテージカーヨシノが行う完全復活への取り組みに関してお話ししたい。

さて、この個体は読者の皆さんがご指摘のとおり、S600のパーツで代用している部分が多いのは確か。これは20年くらい前に大がかりな補修を行っており、この時に入手できたパーツで整えてしまったことに起因する。

しかし現オーナーは、ホンダ関係者ということもあり、丹念にコツコツと当時物やリビルトパーツを集めており、それらを組み込むことによって完全にオリジナル状態に戻すこととしている。

【画像24枚】読者の皆さんの疑問を解決するため、このクルマの素性を具体的に解説していこう


>>ボディの製造番号は、S8100100と刻印されている。これは1963年12月ごろに製造された初期型と推測される。このボディがカップリングされている車体にはAS280-64-400162と後期型の型式プレートが付いているという。現代のように製造管理がシステム化される以前の話なので、十分にあり得ることだ。


>>S500だけの特徴である、助手席側のダッシュボードに、アシストグリップが備わっている。グローブボックスには本来、開閉用ヒンジは付かない。


>>フロント上部の腐食部分に板金補修をしたのが十数年前とのことで、2014年のレストアより以前のこととなる。


>>リアフェンダーの一部に、塗装の浮きがあり内部の鉄板の腐食が進んでいることを示している。実際には開けてみないと分からないが、ロッカーパネルにも影響していそうな気配だ。



【2】へ続く


初出:ノスタルジックヒーロー2018年10月号 Vol.189
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ニッポン名車物語 復活編 第15話(全2記事)

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cooeration:Vintage Car Yoshino/ビンテージカーヨシノ photo: Vintage Car Yoshino/ビンテージカーヨシノ

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