「直結」のクロスレシオ5MT! SUツインキャブ化で明らかになった、A12エンジンの真の姿 〜2016〜|1972年式 日産 サニー 1200 セダン GX5 Vol.2

B110サニーのボディタイプは2ドア/4ドアセダンと2ドアクーペ、バンの4種。ボディサイドの赤黒デカールがGX5の特徴となる。

       
【1972年式 日産 サニー 1200 セダン GX5】

【1】から続く

 A12型エンジンの真の姿は、1970年4月に現すことになる。

 スポーツグレードのGX用にSUツインキャブを装着することでより高性能化し、最高出力は83 psにまで高められた。これにより最大のライバル、トヨタのカローラを凌駕することに成功した(カローラの1.2Lの3K型エンジンは77 ps)。SUツインキャブ仕様のA12型エンジンのハイパフォーマンスを存分に発揮するのが、1972年8月に追加されたスポーツグレードのGX5だ。



 5速MTを搭載したモデルだが、このトランスミッションが特徴的。通常は5速がオーバードライブになるのに対して、GX5の5速はギア比が1.000になる「直結」のクロスレシオ。レースやラリーの経験と技術、ノウハウから生まれたこのトランスミッションは、出足はもちろんコーナーからの立ち上がりなどで威力を発揮し、排気量の小ささを感じさせない高いパフォーマンスを見せつけた。この直結5速のGX5は、当時のレースシーンでのB110サニーの活躍も相まって、当時の若者を中心に人気を集めることとなった。

▶▶▶【画像28枚】左上にリバース、左下に1速がくるヒューランドパターン(ローバックとも呼ばれる)、ポルシェタイプのサーボシンクロを採用したレーシング仕様の5速MTのシフトノブなど




エンジン本体は非常にコンパクトなサイズで、低い位置に搭載されていることがよく分かる。赤いエアクリ−ナーボックスはハイオク仕様の証。





ラジエーターは当時のレース用のアルミ製に交換。





ラジエーターの右側には、レース用のオイルクーラーを装着。「購入時に装着されていたものはオリジナルで、あまり状態が良くなかったので、ちょうど手元にあったレース用を付けただけです。レースをするためではありませんよ」とオーナー。


1972年式 日産 サニー 1200 セダン GX5(B110)
Specification 諸元
全長 3830mm
全幅 1495mm
全高 1390mm
ホイールベース 2300mm
トレッド前/後 1240 / 1245mm
最低地上高 170mm
室内長 1690mmz
室内幅 1270mm
室内高 1140mm
車両重量 710kg
乗車定員 5名
最高速度 160km / h
登坂能力 tanθ0.53
最小回転半径 4.1m
エンジン型式 A12型
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量 1171cc
ボア×ストローク 73.0×70.0mm
圧縮比 10.0:1
最高出力 83ps / 6400rpm
最大トルク 10.0kg-m / 4400rpm
トランスミッション型式前進5段後退 1段フルシンクロ(56A)
変速比1速 3.757 / 2速 2.374 / 3速 1.659 / 4速 1.254 / 5速 1.000 / 後退 4.040
最終減速比 3.900
燃料タンク容量 40L
ステアリング形式 リサーキュレーティングボール式
サスペンション前/後 独立懸架ストラット式 / 半楕円リーフスプリング
ブレーキ前/後 ディスク / ツーリーディング
タイヤ前後とも 6.00H-12-4PR
発売当時価格 63万円 ※データーはハイオク仕様


【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2016年 6月号 Vol.175(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 サニー 1200 セダン GX5(全3記事)

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【1】から続く

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : ISAO YATSUI/谷井 功

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