KYOJO CUP 2024 第3戦|斎藤愛未無双の始まり|2024年7月21日(日)リポート

KYOJO CUP 第3戦の表彰台

       

トップ3選手だけでなく、各グループともに熱い走りを展開

 予選は下野璃央が予選トップ。しかもセカンドベストも1位となった。そのため第2戦に続き、この第3戦も先頭でグリッドに。下野璃央はいつ優勝してもおかしくない状況だ。その後ろに第2戦で勝利し、ますます調子があがっている斎藤愛未、7月19日(金)に行われた予選では不調だったものの第2戦の本戦で本来の鋭いコーナリングテクニックが戻ってきた翁長実希が虎視眈々とトップの座を狙う。

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下野ポール
>>ポールポジションの下野璃央

斎藤2番グリッド
>>2番グリッドの斎藤愛未

翁長3番グリッド
>>3番グリッドの翁長美希(写真は前日の第2戦のもの)

スターティンググリッド
>>スターティンググリッドの3台

モリゾウ
>>スターティンググリッドには豊田章男会長も登場

 スタート直後、キレイなスタートを切る斎藤と翁長が下野のインを差し、一気に抜き去るとそのままTGRコーナーに突入。アウトから入った翁長だったが、逆にイン側となるAコーナーで斎藤の前に。そしてその2台を下野が猛然と追いかける。1周目の最終コーナーまで翁長実希どんどんリードを広げるが、ホームストレートで斎藤があっという間に抜き去りトップへ。

 2周目はトップとなった斎藤の後ろに翁長、下野がピッタリと付き、今度は富士スピードウェイ名物でもあるホームストレートの長い直線を生かしてスリップを利用し、一気に前へ。KYOJOのマシンはスリップが効きやすく、FSWのように長い直線の場合はスリップから抜け出したクルマの背後に付き、TGRコーナーまでの間にもう一度スリップを利用し抜き返す場合がある。

スリップ直後のストレート
>>KYOJOではスリップストリームが有効。TGRコーナーに向かって駆け引きが行われる

 ストレートで斎藤をアウト側から一気に抜いた翁長だったが、イン側からは下野が並び3ワイドで1コーナーに飛び込むと、イン側の利点を利用して下野がトップに立った。その後、この3台はコーナーでの無駄な勝負を避け、3台並びで後続を引き離すことに注力。わずか2周で4位以下をスリップ圏外まで引き離すことに成功する。

 その状況を見て、3台の最後尾に付けていた斎藤は5周目のホームストレートで一気に翁長と下野を抜き去る。斎藤のストレートでの圧倒的な強さを見せつけた形となった。ここから斎藤は翁長、下野からの逃げに入る。しかしなかなかその差を広げることができない。7周目のホームストレートでは逆に翁長、下野がスリップから抜け出し、TGRコーナーで斎藤をかわす。ここから下野、翁長、斎藤という順番で、コーナーでの無理な仕掛けを避けるようにラップを重ねていく。

 この3台の後ろでは富下李央菜が4番手に上がる。初参戦となった2023年の開幕戦でいきなりポールポジションをうばった高校生は、カートの世界において数々の栄冠を勝ち取ってきた天才少女。KYOJO CUPにおいてはなかなか結果が出ていないが、その実力の高さは誰もが知るところだ。その後ろに平川真子。天才レーサー平川亮を兄に持つがレース活動は18歳からと遅咲き。「亮でさえ勝てるのだから」とレースの世界に飛び込んだ。現在、豊田章男会長のプライベートチーム「ルーキーレーシング」にスポンサードされる期待のドライバーだ。そしてその後ろに永井歩夢。モトクロスバイクレースからの転身で、2021年からエントリー。彼女も実力者と言われながら結果が出ない、くやしい日々を送っている一人だ。この3人がセカンドグループを形成する。

セカンドグループ
>>セカンドグループを形成する富下李央菜(#225)とバトルする永井歩夢(#50)

 8周目、再び斎藤がホームストレートで下野と翁長を抜き去る。その激しいバトルの中、コカコーラーコーナーで下野がショートカット。四輪脱輪(走路外走行)でしかもトップ斎藤の前に出たことから5秒のペナルティが課されることになった。

 11周目。スリップから抜け出し、コカコーラーコーナーで下野を抜いてトップに立った斎藤が一気にスパートをかける。それに追いつきたい翁長は下野とバトル。その激しさの中、走行妨害のペナルティが翁長にも課せられることになった。レースは3人がチェッカーまで激しいバトルを繰り返したが、スパートをかけた斎藤に翁長、下野は追いつくことができず、第2戦に続き斎藤の2連勝となった。

フィニッシュ
>>ゴール直後の3台。2戦連続優勝となった斎藤愛未。その後ろでは下野が翁長をスリップでかわす

 ペナルティを課せられた下野と翁長はそれぞれ4位と5位に降格。2位には嬉しい初の表彰台となった富下李央菜。3位に平川真子。棚ぼたですからと謙遜する2人だったが、2人とも3台に引き離されることなく、むしろあと数周あれば追いついていたかも知れないほどのレース展開。胸を張るべき表彰台だ。

 「かなりキレイなバトルができたのが良かったです。途中でセカンドグループの先頭になった瞬間に後ろがバトルし始めたので、うまく引き離すことができました。次は予選でもう少し上にいって、スタートダッシュできるようにしたいです」と富下。KYOJOの世界に舞い降りたスーパー高校生は、ついにその実力を実際の結果につなげることになった。しかも彼女は「日本一かわいい高校生」コンテストの関東エリア代表にも選ばれているほどの美少女。天は二物を与えているのである。

 「SFが走ったあとなので路面がどうなのかと思ったのですが、特に影響はなかったですね。ただ翁長さんとのバトルでタイヤが消耗してしまって、最後はズルズルの状態でした」と平川真子。実力からすると優勝も可能なドライバーなので、今後に期待だ。

 ペナルティで降格し、落ち込んでいるかなと思った下野だったが、記者の顔を見ると「ファステストは取りました!」と満面の笑みを見せてくれた。気持ちの切り替えが早いことも、勝てるレーシングドライバーの条件だ。

表彰式の3人
>>優勝は中央の斎藤愛未。準優勝は富下李央菜(左)、3位は平川真子

TEXT:Nostalgic Hero編集部 PHOTO:Jyunichi Okumura/奥村純一 KYOJO CUP事務局

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