新品ホワイトボディで組んだMG-B【後編】後期用エンジンにクーラーも追加した快適仕様へ|1965年式 MG MG–B

ここで紹介している個体は、2020年2月開催の「ノスタルジック2デイズ2020」でホワイトボディの状態の展示されていた。ボディそのものすら新品パーツとして出てくるところが、イギリス車のすごさ。乗り続けるためのハードルは、国産車に比べても低いといえる

       
【前編】から続く
【欧州名車列伝|1965年式 MG MG-B 後編】

1960~70年代にライトウエイトでクルマと一体となった操る楽しさを堪能できるクルマとして、英国製の小型スポーツカーが世界的にブームとなる。特にMG-Bは1962年のデビューから1980年に生産を終えるまの18年間で、52万台(シリーズ全体)を販売した英国を代表するスポーツカーだった。

MG-Bは世界中で販売され、レース参戦はもちろん、クルマを操る楽しさを味わえるクルマとして大ヒットしたモデル。それ故にMGとしても、さまざまな改良やアップデートを行っている。

【画像13枚】純正オプションのワイヤースポークホイールは、メッキタイプとシルバーフィニッシュの2種類が用意されていた。

1965年モデルからは、エンジンが5ベアリング化されるとともに、リアシートとハッチゲートを備えたクーペ「MG-B  GT」を追加。従来の2座席オープン版は「ツアラー」と呼ばれることになる。
1967年には、北米の安全基準を導入するとともに電装系を一新したマークⅡに進化。4速MTの変速機もフルシンクロ化され、OD付きや3速ATも選択可能になった。
そして1969年には内外装を一新したマークⅢへと進化する。
さらに1974年秋には、アメリカの安全基準に合わせた黒いウレタンバンパーが装着され、エンジンも排ガス規制に対応。
これらの度重なる改良・変更を経て、80年10月に生産を終えることとなるが、18年間で生産台数はシリーズ全体で52万台以上にも達している。

また、MG-Bのバリエーションとしては、1967年に直列6気筒OHVエンジンを搭載したMG-C/MG-C GTが登場。
1973年には、アルミブロックを採用した3.5リッターのローバー製V型8気筒エンジンを搭載した大排気量モデルのMG-B GT V8を追加した。

今回取材したのは、神奈川県横浜市の「エヴィータ」によって仕上げられた65年式のMG-Bだ。新車のように美しいボディだが、それもそのはず、新品のホワイトボディをベースに多くの新品パーツが使用された個体となっている。内装や幌も張り替えられ、まさに新車同然の状態なのだ。また、4速MTやエンジンは改良された後期用のものを搭載してクーラーも追加。より快適に乗れる仕様としている。エヴィータによれば「旧車初心者でも敷居が低く、楽しみやすいのがMG-Bの特徴です」とのこと。程度にもよるが、200万円前後から入手でき、前述の通り新品パーツの入手も容易だ。オープンカーなどにジャンルを絞らずとも、あらゆる輸入車の旧車の中でも最もリーズナブルな選択肢のひとつがMG-Bといえるのではないだろうか。


エンジンのBMC Bタイプタイプユニットは、1965年以降の5ベアリング化されたタイプに換装している。点火系はセミトランジスタ化しており、点火力を手に入れている。


キャブレターは本来はSUツインキャブの設定だが、ウエーバーの 45DCOE-152を装着したチューンド仕様だ。


フロントグリル下にはエヴィータオリジナルのクーラーキットのコンデンサーとファンを追加している。現代でも快適に運転できるスペシャルな装備だ。



この個体は右ハンドルの本国仕様だが、北米で大ヒットしたモデルということもあり、市場には左ハンドルの個体が多く見られる。助手席のグローブボックス下に快適装備のクーラーが追加されている。


ノーマルはブラックカラーとなるシートだが、レストアを担当したエヴィータでは、内装のレザーはオーナーの好みの英国車らしいタンのカラーで張り替えている。

【すべての画像を見る】

初出:ノスタルジックヒーロー 2020年10月号 Vol.201
      (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


関連記事:欧州名車列伝

1965年式 MG MG-B|欧州名車列伝(全2記事)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Satoshi Kamimura/神村 聖

RECOMMENDED

RELATED

RANKING