【実は軽バンと軽トラのニコイチ!!】純正風にメイクした高度なメタルワークを随所に施す“おたまじゃくし”サンバー・ディアスバン

見た目は疑いもなく軽トラに見えるけど、ベース車両は実はサンバー・ディアスバン!

       
史上最も一見フツーなカバーカー
されどありえんエクステンドキャブ

【画像12枚】他車パーツを流用しつつ、足りない部分は鉄板を溶接して製作したキャビン、バンベースがゆえの快適な車内空間、サンバー特有の構造だからこそ実現した驚愕のボディワークなど、気になるカスタマイズのヒミツはココをチェック!!

歴代の軽バン&軽トラカスタムの中で、随一のマニアックなカーと言えば、この「サンバートラック・エクステンドキャブ仕様」だろう。
富士重工(スバル)時代のサンバーには、純正エクステンドキャブは存在しない。
そう、世界で1台だけのカスタム車両となるのだ。

当然ながら、製作の手順もだれも経験したことがないのでワンアンドオンリー。

ただし、トラックベースでキャブを延ばすという常人が考えるカスタム手法はあえて用いず、バンをベースに後部をカットする方法を採用。
バンのキャビンをフレームから分離してショート加工した上で再びフレームに載せる。
つまり、キャビン後方をぶった切って、約30cmのエクステンド部分を“残す”形で成形したのだ(ルーフを継ぎ足すよりもこっちのほうが手間なく&美しく仕上がるというのが理由)。
そのため、バンにあるルーフのプレスラインが残されているのもマニアックなポイントでもある。

さらに、エクステンド部分には、ミニカトッポのクォーターウインドーを取り付け、周囲は鉄板などで処理。
キャビン後方にサンバーハイルーフトラックのバックパネルを取り付けたら、キャビンは完成。
サンバーに実際にエクステンドキャブが存在したならば、と思わせるほどの完成度が素晴らしいのだ。

あとは、キャビン部をエクステンドした分、ベッド部分はショート加工(約30cm)。
加工部が目立たないよう、中央部を切り取った上で接合するというワザも発揮するなど、どこまでも純正クオリティを狙った処理なのだ。

その完成度ゆえ、「スバル純正仕様?」と思わせるのも狙い。
軽バン&軽トラの合わせ技で生まれた超マニアックなエクステンドキャブ仕様は、今も語り継がれる史上最も地味だけど奥深い1台なのだ。



>>この角度からフォルムを見ると、バンベースでカスタムを実施した理由がよくわかる。シングルキャビンの後方にキャブを追加する手法だと、どうしてもルーフまわりに“作った感”が出てしまい、自然で滑らかなラインが出せない。その点、バンの純正ルーフをそのまま使ったこのスタイルなら、フォルムの美しさは歴然! ルーフに刻まれたプレスラインをそのまま生かせるのもセレクトの理由となる。ショート化したベッドにも継ぎ目を一切見せない高度な加工が施されている。


>>キャビンを伸ばした分、ベッドはショーテッド加工しないとつじつまが合わない。アオリ部分もしっかりノーマル然としているが、実は前後をカットして、あらかじめ切り離してあったゲートロック部分を最後に溶接して三方開きを可能にしている。アオリを固定する蝶番部分もズレるので、調整して設置されているのだ。


>>ベースはバンのボディだが、Bピラーから後方はルーフ部分だけを残してカットする手法を採用。ここにミニカトッポのクォーターウインドーとサンバートラックのパネルなどを組み合わせ、エクステンドキャブ部を完成させている。


>>昔はハイゼットジャンボしか純正設定のなかったエクステンドキャブの軽トラ。だからこそ、最終サンバーでのエクステンドキャブはこの1台のみとなる。しかも、ベースは軽バン! キャビン後方をカットしてベッドを載っける手法も斬新だ。


>>ホイールにはブリヂストンから発売されていた軽量アルミホイール(スーパーR.A.P)を装着。スチールホイール風のデザインで、軽トラフォルムにもピッタリ! ホワイトカラーが代名詞のスーパーR.A.Pだが、あえてシルバー塗装し、純正鉄チン風を装っている。


>>サンバーはバンとトラックのフレームが共通なのもこのカスタムが成功した秘密のひとつ。キャビンやベッドはこのように、ステーで支えられているので、ベッドを換装する場合もステーを製作することでドッキングさせることが可能となったのだ。


>>フレームは加工することなく、ボディ側の加工でカスタムが可能なのもサンバーの構造だからこそだろう。


>>ベッドは中央部を部分的に切り取ってショート化。裏から見ると補強用のフレームが確認できる。


>>見た目は軽トラだが、中身はバンベースなので、アームレストがあるディアスワゴンの純正シートとなる。リクライニング機構を使えるのもエクステンドキャブならでは。


>>ルーフの内張りがしっかり残っているのもルーフを延長加工したものではない証となる。


>>通常の軽トラよりも広々としたエクステンドキャブ部には、大型ウーファーボックスを設置している。


>>普通の軽トラよりも少し頭でっかちに見えるため「TAD POLE(おたまじゃくし)」と名付けられた同車両。スバリスト御用達のWRブルーでオールペンされただけの純正軽トラ? ではなく、実はかなり手間ヒマをかけた1台なのだ。

【画像12枚】他車パーツを流用しつつ、足りない部分は鉄板を溶接して製作したキャビン、バンベースがゆえの快適な車内空間、サンバー特有の構造だからこそ実現した驚愕のボディワークなど、気になるカスタマイズのヒミツはココをチェック!!


『カスタムCAR』2023年11月号掲載
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
BASE CAR:サンバー・ディアスバン/2012年型
SOURCE:Fermate

PHOTO/谷井 功 TEXT/土田康弘

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