純正オプションのウッドステアリングを握って、国内初のフルタイム4WDを駆る|1986年式 スバル レオーネ 3ドアクーペ RX/Ⅱ ターボ【2】

初代アルシオーネの発売(85年6月)を機に「高速4WD」が注目を集め、数多くの4WDターボが誕生した

【1】から続く

WRC(世界ラリー選手権)で最強のマシンと呼ばれていたスバルのインプレッサWRX。それ以降、フルタイム4WDターボはスバルの象徴となった。ところで、4WDの起源は実はスバルであり、1972年の初代レオーネの4WDが、国産初の乗用タイプ4WD車であった。

【最強の系譜 4WD+ターボ 1986年式 スバル レオーネ 3ドアクーペRX/Ⅱ ターボ vol.2】

 当時のスバルはMP-T(マルチ・プレート・トランスファー)4WDとセレクティブ4WDという2つのシステムを用意していた。MP-TはAT、セレクティブはMTと組み合わせられるシステムで、どちらも2WDと4WDを切り替えるパートタイム方式だ。今回の撮影車両となる3代目レオーネは84年7月にセダンがデビューし、このときに世界初のオート4WDシステムをMP-Tに採用。そして、3カ月後の同年10月にワゴンを追加した。さらに、85年10月に3ドアクーペシリーズをリリースしているが、ここまでは前述のMP-Tまたはセレクティブ4WDとなる。

 そして、86年4月についにフルタイム4WDを発表。そのシステムを搭載したのがレオーネ3ドアクーペRX/Ⅱターボである。新開発のフルタイム4WDシステムは、ベベルギア方式のセンターデフを採用。最大の特徴はコンパクトなサイズにあり、トランスファーケースは従来のセレクティブ4WDサイズとほぼ同等。加えて機構がシンプルなため、耐久性と信頼性に優れていた。また、この4WDシステムにはデフロック機構も備えていたほか、トランスミッションのギア比を2段階に切り替えられるデュアルレンジ・システムを搭載していた点も特徴だ。
【画像18枚】大型2眼メーターの両サイドに電圧や油圧などの小型メーターを配置。中央に駆動状態を表示するインジケーターを備える。RX/Ⅱは5速MTのみの設定で、デュアルレンジの操作でスポーティーな走りを可能に。インパネまわりもオリジナル。ステアリングは純正オプションのウッド



>>RX/Ⅱはホールド性を高めるバケットタイプのスポーツシートが標準。クッションにコイルスプリング付き平面バネを採用し、座り心地の良さも実現。



>>ラップアラウンドリアウインドーにより明るくゆとりあるスペースを生み出した後席。5対5分割可倒で室内のスペースアップも可能。

レオーネ 3ドアクーペ RX/Ⅱ ターボ(AG6)主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 4370×1660×1405
ホイールベース(mm) 2465
トレッド前/後(mm) 1415/1425
車両重量(kg) 1110
エンジン型式 EA82型
エンジン種類 水平対向4気筒SOHCターボ
総排気量(cc) 1781
ボア×ストローク(mm) 92.0×67.0
圧縮比 7.7:1
最高出力(ps/rpm) 120/5200
最大トルク(kg-m/rpm) 18.2/2400
変速比 1速3.545/2速1.947/3速1.366/4速0.972/5速0.780/後退3.416
最終減速比 3.700
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 185/60R14(前後とも)
発売当時価格 191.0万円

【3】へ続く

1986年式 スバル レオーネ 3ドアクーペ RX/Ⅱ ターボ(全3記事)
初出:ハチマルヒーロー 2017年5月号 Vol.41

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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TEXT:Rino Creative/リノクリエイティブ PHOTO:SATOSHI KAMIMURA/神村聖

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