「GT-Rは速すぎた」レース規定の変更をおそれ、ブースト圧を落として走る自主規制も行われていた|スペシャルインタビュー 長谷見 昌弘【4】

「天才・長谷見」の名にふさわしく、通算10勝、シリーズタイトル3回(89/91/92年)の戦績を残した長谷見昌弘 

【スペシャルインタビュー 長谷見 昌弘 vol.4】

かくしてGT-Rは連勝街道まっしぐらとなるのだが、手放しでは喜べない事情も抱えていたという。

「今だから言えますが、GT-Rのレースブースト圧は当初1.6(kg/cm2)の設定でした。ところが、このブースト圧で走ると速くなりすぎてしまう。これはマズイと。デビューしたての車両が圧倒的に速いというのは、何かと問題の種になりますからね」

デビュー戦の西日本で優勝した星野のGT-Rは、3位のシエラに2周、長谷見も1周の大差をつけていた。勝っても負けても秒単位だった前年までの状況とは完全に次元が違っていた。GT-Rは速すぎたのである。これが喜べない事情なのだった。

「あまりにも差がつきすぎるとハンディを背負わされたり、レース規定が変わってしまうおそれがあった。こうした事態だけは避けようと、ブースト圧を落として走る自主規制を課したのです。

ところが、これがなかなか面白くてね。まずは1.5に下げたのだけれど、速く走ってしまう。『それならば』とさらに1.4まで下げて走ったのですが、それでもまだ速い。たしか、1.2まで下げたところで、『さすがにこれでは走らない』となりましたね(笑)」

【画像5枚】あまりにも速すぎたGT-Rは、ハンディを背負わされることや、レース規定の変更をおそれて対策を取った



【5】へ続く


初出:ハチマルヒーロー2017年1月号 vol.39
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

スペシャルインタビュー 長谷見 昌弘(全5記事)

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TEXT : AKIHIKO OUCHI/大内明彦 PHOTO : RYOTA SATO/佐藤亮太

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