まだまだこのモーリスの物語は終わらない。次なるエンスージアストの手に|1963年式 モーリス1100【4】

同じADO16でもMG版やヴァンデン・プラ版のようなウッドパネルを持たない、ビジネスライクな計器盤。ステアリングは、のちの1300GT用に換装したかに思われる。

【輸入車版懐古的勇士 1963年式 モーリス1100 vol.4】

川本さんと同じく、生粋のエンスージアストである笹本さんは、当時ポルシェ356の一台態勢で仕事も日常生活もこなしていたそうだが、やはり後席にも人を乗せられる、あるいは荷物を積めるアシ車の必要性を実感。そこで川本さんから譲り受けたのが、このモーリスだったという。そして、ネコ・パブリッシングの前身「企画室ネコ」の営業車としても数年にわたって活躍ののち、長い休眠生活に入る。

しかしこのモーリスの物語は、それで終わりではなかった。今世紀に入って、カーマガジン誌の企画でフルレストアが施され、再び日の目を見ることになるのだ。

そして長期テスト車としての役割を終えたのちには、このページの写真を撮影している写真家、英国ベーシックカーをはじめとするクラシックカーを数多く所有するとともに、自ら整備やレース活動も積極的に行う奥村純一さんのもとに引き取られ、今なお取材のアシとして大活躍。

現在、日本国内に生息しているADO16の中でも、おそらく最も幸福と思われる現役生活を謳歌しているのだ。

【画像16枚】同じADO16でもMG版やヴァンデン・プラ版のようなウッドパネルを持たない、ビジネスライクな計器盤。ステアリングは、のちの1300GT用に換装したかに思われる。ピニンファリーナ・デザインのスタイリングなど


>>運転席のビニールレザーは、新車時のオリジナルのためボロボロ。現オーナーは、そろそろ内装のレストアを考えているという。


>>リアシートはオリジナルではなく、いつの時代かにADO16の最終期70年代のものへと取り換えられたとのこと。


>>ラゲージスペースは、現オーナーのプロ用撮影機材を軽々と飲み込むほどの大容量を誇る。





奥村純一さん

捨て犬猫を拾うかのごとく、見捨てられそうな車両を引き受け十数台所有。自宅から片道2時間の場所に倉庫を借り、自ら整備。ヒストリック2輪4輪の専門雑誌である「The Vintage Wheels」の編集長を務めるが、本業はカメラマン。もちろんこのページの写真も自ら撮影したものだ。



1963 morris 1100

全長×全幅×全高(mm) 3727×1534×1350
ホイールベース(mm) 2375
トレッド前/後(mm) 1308/1292
車両重量(kg) 832
ボア&ストローク(mm) 64.58×83.72
エンジン型式 BMC Aシリーズ
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量(cc) 1097
最高出力(ps/rpm) 49/5100
最大トルク(kg-m/rpm) 17/2500
最高速(km/h) 125
トランスミッション 4MT


【1】【2】【3】から続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2019年10月号 Vol.195

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1963年式 モーリス1100(全4記事)

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TEXT : HIROMI TAKEDA/武田公実 PHOTO : JYUNICHI OKUMURA/奥村純一

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