なぜモーリスにホンダ技術研究所「R&D」のステッカーが!?  レジェンドたちが所有してきた1台|1963年式 モーリス1100【3】

この個体のリアウインドーには、川本さんの愛車だった時代の名残り、ホンダ技術研究所「R&D」のステッカーが残されている

【輸入車版懐古的勇士 1963年式 モーリス1100 vol.3】

一時はミニをもしのぐ大ヒット作、英国市場におけるベストセラーとなったADO16は、67年頃からテールフィンが縮小されるとともに、エンジンも1300ccへと拡大した「MkⅡ」に暫時進化を遂げてゆく。モーリス版については、MGなどと同じ1300cc+ツインキャブの「1300GT」も設定されるが、74年に誕生した実質的後継車「オースティン・アレグロ」にあとを譲るかたちで生産を終えた。

今回ご紹介するモーリス1100は、以前このコーナーに登場したトライアンフTR3と同じく、ホンダの元会長、川本和彦さんが日常の足として愛用していた来歴を持つ個体。それ以前にはMGミジェットなどの英国製スポーツカーを愛用していた川本さんが、家族を持ったことを契機に、より実用的なモーリスに乗り換えた(あるいは増車した?)と言われている。

そして、このクルマの次のオーナーとなったのも、実はレジェンド的人物であった。70年代中頃のこと、川本さんがカーグラフィック誌の売買欄に「売りたし」として出した広告を見て、即座に応じたのは笹本健次さん。ネコ・パブリッシング社創業者にして、「カーマガジン」誌の元編集長。さらに「AUTOCAR」日本版の編集長を務めた、伝説の編集者である。

【画像16枚】ピニンファリーナ・デザインのスタイリングなど。パワーユニットはモーリス・マイナーやミニなどにも搭載されるとともに、日産A型のお手本ともなったBMCの名機「Aタイプ」。ミニ同様「イシゴニス式」横置きレイアウトで前輪を駆動する。見た目はこの時代の大衆車然とした、か弱い印象のテールパイプだが、ここから放出されるサウンドは、長閑な中にも独特の野太さを感じさせる


>>「1100」のバッジの上には本来「MORRIS」のロゴバッジも取り付けられるが、撮影当時は補修中のため外されていた。


>>同時代のミニの10インチに対して、12インチに拡大されたタイヤ。ハイドラスティックの乗り心地は、現代のクルマにも勝るとも劣らない。






1963 morris 1100

全長×全幅×全高(mm) 3727×1534×1350
ホイールベース(mm) 2375
トレッド前/後(mm) 1308/1292
車両重量(kg) 832
ボア&ストローク(mm) 64.58×83.72
エンジン型式 BMC Aシリーズ
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量(cc) 1097
最高出力(ps/rpm) 49/5100
最大トルク(kg-m/rpm) 17/2500
最高速(km/h) 125
トランスミッション 4MT


【4】へ続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2019年10月号 Vol.195

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1963年式 モーリス1100(全4記事)

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TEXT : HIROMI TAKEDA/武田公実 PHOTO : JYUNICHI OKUMURA/奥村純一

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