希少なクルマを動態保存!! 当時の姿を今によみがえらせている3代目オーナー|1959年式 日産オースチン A40サマーセットサルーン【3】

珍しい2トーンカラーのオースチンA40。当時のロンドンモーターショーでも同様の車両がカットモデルとして展示されていることから、2トーンモデルが当時から存在していたようだ

【1】【2】から続く

【1959年式 日産オースチン A40 サマーセットサルーン vol.3】

しかし、オーナーはこの希少な日産オースチンA40を動態保存している。3代目オーナーとして30年近く乗り続け、当時の姿を今によみがえらせている。イベントにも参加し、このクルマの素晴らしさと歴史を伝えている。

乗り始めて間もなくクランクシャフトの損傷でエンジンを載せ替えた。

「最初に載っていたブルーバードのエンジンは調子よく走りました。ミッションがそのままつなげられるのにも驚きました。でも、ブルーバードのエンジンということが気になっていたんです。そこで、純正のエンジンを探しました」

生産からすでに50年近くたったエンジンであったが、偶然にも解体業者に入ってきたエンジンを手に入れた。レストアをしようと長年保管してあったエンジンで、レストアを断念したという偶然のタイミングだった。

パーツはイギリスから入手することも多く、前職の教師仲間の英語の先生に頼んで、パーツを探したこともあるという。今ではレストアもほぼ完了しており、車庫に大切に保管されている。しかし、イベントなどがあれば雨の日でも駆けつけるというから驚きだ。

クルマにはナビにETCまで搭載され、遠出も辞さないというスタンス。ビンテージの領域に入るクルマであっても、気兼ねなく乗り続けることが、動態保存するには大切なことなのだろう。

【画像18枚】ステアリング奥にカーナビをセット。車速はタイヤに取り付けた磁石から直接スピードを検知している。フロントシートと同じ生地で作られたリアシートは広々としていて座り心地もいい


>>大きなラジエーターコアとエアクリーナーが特徴的なエンジンルーム。黒いエアクリーナーBOXにはMADE IN ENGLANDの文字が刻印されている。バッテリーは軽量飛行機用が搭載されている。



>> ステアリングスポークは細いパイプが束ねられて構成されている。スピードメーターはセンターに位置し、水温計などの計器も、周辺にまとめられている。


>>赤い表皮で覆われたベンチシート。室内は英国風の上質な質感で多くのクルマ好きをとりこにした。





長年教師生活を続け、多くの教え子を輩出してきたオーナー。地元でクラシックカークラブを設立したり、旧車の活動も盛んに行なってきた。現在は全日本ダットサン会の相談役を務めている。今でも高速を使ってツーリングに出かけるというアクティブ派。国内を走り続けてきた国産車の価値を多くの人に伝える。


日産オースチンA40サマーセットサルーン(A40)

全長(mm)
4050
全幅(mm)
1600
全高(mm)
1630
ホイールベース(mm)
2350
車両重量(kg)
1020
エンジン種類
直列4気筒OHV
総排気量(cc)
1197
最高出力(ps/rpm)
42/4500
最大トルク(kg-m/rpm)
8.6/2200
サスペンション前/後
独立懸架コイル式/

平行半楕円式
ブレーキ前/後
リーディング・トレーリング



初出:ノスタルジックヒーロー 2019年 8月号 Vol.194

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1959年式 日産オースチン A40 サマーセットサルーン(全3記事)

関連記事:1950年代の旧車たち

【1】【2】から続く

TEXT:KEISHI WATANABE/渡辺圭史 PHOTO:SATO RYOTA/佐藤亮太

RECOMMENDED

RELATED

RANKING