「木は湿気を吸うから」リビングのような檜の空間に佇む2台のスカイラインGT-R|檜を使用した旧車に優しいガレージ【1】

湿気を吸収する檜を使用した旧車に優しいガレージ

       

【檜を使用した旧車に優しいガレージ vol.1】

シャッターが開いた瞬間、ここはガレージでなくリビングではないか、という錯覚にとらわれてしまった。

ガレージ内装は、5面に檜の板を使った仕上げで、クルマを保管する場所というより、人間が居住する空間という印象が強い。

なぜ木材なのか、その理由を尋ねると「木は湿気を吸うから」と即答してくれた。自動車やバイクを保管する上で、やはり大敵は湿度だという。乾燥し過ぎも問題だが、湿度が高いとサビの原因となり、機械物にとっては最悪のコンディションとなる。

湿度コントロールに木材を使用するという発想は、正倉院宝庫のあぜくら作りに代表されるよう、我々日本人にとっては、日常生活の中で培われたある種の常識的思考なのかもしれない。

1996年に作られたガレージだが、当初色合いはもっと白かったという。それが歳月を重ねて飴色に変わり、それがなんとも言えない雰囲気をかもし出している。それほどいい雰囲気で、木材は、人間と機械をうまく調和させる有機的な働きを持つことが、無言のうちに教えてくれるようだった。

【画像33枚】リビングと見紛う木材ばりの空間は、旧車にも優しいガレージだった。ガレージのシャッターを上げると2台のGT-Rが目に飛び込んでくる。そして木材が放つ飴色の空間。防湿のためだが、木材が持つ有機的な雰囲気が居合わせた人間を和ませる


>>珍しいといえばフェラーリの紋章である跳ね馬がガレージ右側壁面に飾られる。フェラーリ本社の壁面などに飾られる本物だ。


>>ビンテージな装飾品が多いこともこのガレージの特徴だが、なんと戦時中の機関銃(MG34)といった珍しい代物も。


>>ヴィンテージのザ・チェアに座るガレージオーナー。クルマ好きの常で機械好き、バイク好き。インテリア好き。フェラーリ512Mを所有していた時期もあり、独自の自動車哲学を持っている。




初出:ノスタルジックヒーロー 2019年 6月号 Vol.193

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


檜を使用した旧車に優しいガレージ(全3記事)


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【2】に続く

photo:Ryota--Raw Shimizu/清水良太郎 Illust: Masaki Takanashi/高梨真樹

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