ミニのポートは吸気2、排気3カ所! 狭いエンジンルームに4気筒エンジンとミッションを押し込むための苦肉の策|珍車秘宝館 第14回 【2】

通常のオイルパン部分にミッションギアが組み込まれている

       
【1】から続く

小型大衆車として40年以上も発売され続けたミニ。コンパクトな車体を実現するために、技術者のアレック・イシゴニスはエンジンの設計において、奇策を投じている。その発想がスゴイ!

【珍車秘宝館 第14回アレック・イシゴニスとミニとAシリーズエンジン vol.2】

目的としては、できるだけコンパクトにすること。

とにかくエンジン前後方向(ミニは横置きエンジンなので左右方向か?)の長さを切り詰めるために工夫されています。4気筒エンジンの場合、通常のターンフローエンジンでは、当たり前ですが吸気4、排気4カ所のポートがあります。

ところが、ミニのポートは吸気2、排気3カ所になっています。ややこしいので、写真を見ながら説明すると、赤線が排気ポートの通路、青線が吸気ポートの通路で、なんとヘッドの中でポートを分けています! 3番、4番シリンダーの排気ポートはヘッドの中で交わって1カ所から抜く構造になっているのです。なので、この2気筒には排気脈動なんてあったもんじゃありません(笑)。

【画像10枚】イシゴニス博士はいろいろな策を用いて、ミニの狭いエンジンルームに4気筒のエンジンを押し込もうとした


>>通常のオイルパン部分にミッションギアが組み込まれている。


>>ミッションギアにシンクロナイザーリングを載せた状態で、このシンクロリングの形状は、日産初のシンクロ装着車であるダットサン210と同じ。その理由は、日産が1952年に英BMCと「オースチンA40」の組立てと国産化にかんする技術提携契約を結んだからだ。その後、SR311フェアレディあたりまで基準寸法やネジ類までインチサイズを採用している。


>>ミッションケース外観で、ケース側面にディファレンシャルが装着される構造だ。


【1】から続く


初出:ノスタルジックヒーロー2018年10月号 Vol.189
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

珍車秘宝館 第14回(全2記事)

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photo&text:珍車秘宝館 館長

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