エンジン製作の一連の作業ができる体制確保にこだわる【3】TOMEI、エンジン製作のバーチャル見学会

【補機類など/インテークマニホールド】 型を起こし直して製作したという鋳物のインマニはA型用の復刻版。惜しまれながら製造廃止となっていたが復活した。スロットルリンケージや熱や振動を防ぐためのインシュレーターも付属する

【2】から続く

日本屈指のエンジンビルダーとして知られる東名パワード。50年以上の歴史を誇る老舗だ。今回はそのファクトリーに潜入。
パーツ開発の舞台裏を拝見した。卓越した技術と充実の設備から生まれる逸品の数々から、内燃機関へのこだわりが感じ取れる。

【TOMEIのエンジン製作のバーチャル見学会 東名パワード 内燃機関へのこだわり Vol.3】

 旧車用パーツの開発にも積極的だ。なかでも東名の原点ともいえるA型エンジンについては最新技術を取り込んだ研究開発を続けており、JCCА主催のTS‐CUPでも高い人気を誇る。

 今回の工場探訪を通じ、そうした開発姿勢を存分に感じとることができた。なかでも驚かされたのが、昔ながらのレーシングガレージを彷彿とさせる体制を継承していることだ。

 カム研削盤やNC旋盤など大型工作機が並ぶファクトリーの一角には、温度管理されたエンジン室や開発研究室、ポート研摩などを行う専用ルーム、洗浄室が完備される。エンジン製作にかかわる一連の作業ができる体制がキッチリと整っているのだ。
 今どきのパーツメーカーは下請けに作業をゆだね、販売やコスト管理に終始するケースも多い。だが、あくまで現場主義を貫き、職人がひとつひとつ丁寧にパーツを生産開発している。こうした昔ながらスタイルは生産効率という面で考えると、決して最良の選択とはいえないかもしれない。

 しかし、作り手の情熱が込められたパーツには本物だけが持つ特別な輝きが宿るものだ。そうした東名パワードの製品の数々に、価値や魅力を感じるユーザーは少なくない。ぜひ一度、本物を手に取ってみてほしい。

>> 【画像50枚】TOMEIのエンジン製作のバーチャル見学会。A型とL型については、燃焼室加工やバルブシートカットやセット長合わせ、シートリング打ち換えなどの作業にも対応する




【補機類など/インテークマニホールド】
加工待ちのインマニがズラリと並ぶ。昔は木型で起こしていたというが、現在は金型を使用してボディ部分を製作している。





【補機類など/オイルパン】
ストレーナーを囲うようなバッフルプレート付きで、旋回時や制動時のオイル偏りを予防する。オイル容量も拡大しており、油温の安定化にも寄与する。






【補機類など/エキゾーストマニホールド】
マフラーやエキマニといったパイプものも数多くラインアップする東名パワード。写真はTSレース時代の職人が手がけるB310用の4-1エキゾーストマニホールドだ。美しい仕上がりを見せる。





【補機類など/メタルガスケット】
熱膨張によりヘッドとブロックは多少なり動く。高い面圧がかかるヘッドガスケットを使用するのが肝心だ。東名のA型用は高回転、高負荷時にもしっかり追従する対向ビードを採用する。







【補機類など/タービン】
開発室に置かれていた巨大なタービンは、ずっしりとした重さがあった。その奥には2JZ型用のクランクシャフトが見える。



【4】に続く

初出:ノスタルジックスピード vol.022 2019年11月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

東名パワード 内燃機関へのこだわり(全4記事)

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【1】【2】から続く

text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ) cooperation : TOMEI POWERED/東名パワード

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