前期型のボディ製造番号に、後期型の車体番号。それってアリなの?|ニッポン名車物語 復活編 ホンダS500 第15回【2】

モールもオリジナルではないようで、これはワンオフ製作する予定だ。

       
ビンテージカーヨシノによる名車復活の新プロジェクト「ホンダS500の復活計画」がスタートしたが、前回の記事を見た読者の方々から「ほんとうにS500なんですか?」という質問があり、今回はこのクルマの素性をもう少し具体的に解説することと、ビンテージカーヨシノの見立てによる要注意の作業ポイントをリポートする。

【ニッポン名車物語復活編 第15回 vol.2】

肝心のこのクルマの素性だが、ボディ製造番号には、S8100100と刻印されている。当時の資料によると、1963年12月ごろに製造されたものと思われ、初期に生産されたものと分かる。しかし車体番号はおなじみの531ccエンジンAS280から始まる64‐400162という後期型の型式プレートをオーナーが所有しているという。前回でもお知らせしたが、前期型ボディと後期型の車体がカップリングされたものとなっている。生産管理がシステム化される以前の話だけに、こういうこともあると考えられる。

ビンテージカーヨシノでは、外板は総剥離して板金塗装をし直すことにしているし、車体もしっかり補修していく。そして機関部は、一度すべて分解したうえで、組み直していくという。すべてが一新されるというわけだ。

【画像24枚】S8100100と刻印されているボディの製造番号。これは1963年12月ごろに製造された初期型と推測される


>>ドアは完全にS600のものとなっている。これは中期以降のタイプ。現時点で内張りはないが、オーナーは新品の在庫を有しているという。


>>サイドミラーは、S500用はシリーズ中最も肉厚なタイプ。オリジナルに交換する。取り付け位置も微妙。


>>オーナーはフロントフェンダーパネルの再販新品パーツを所有しており、交換する予定だ。



ビンテージカーヨシノ 芳野正明社長が語るホンダS500の名車再生

「S500は、ホンダイズムが随所に注入されている、それまでにない夢が詰まったモデルです。独自のアイデアと高性能ぶりを手に入れるために、精密機械のようなクルマになっています。そのため経験豊富なメカニック、板金塗装職人がしっかり仕事をしていきます。オーナーさんはホンダ関係者で、深い愛情を持っているだけに期待に応える必要がありますね。見た目重視で外装にこだわったところで、車体や機関部がしっかりしていなければ全体のバランスが崩れてしまします。見えない部分にも妥協しないで、トータルバランスの優れた仕様に再生していきます」と芳野社長が語るように、このプロジェクトはビンテージカーヨシノのノウハウを投入した最上級のものとなるのだ。





【1】から続く


初出:ノスタルジックヒーロー2018年10月号 Vol.189
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ニッポン名車物語 復活編 第15話(全2記事)

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cooeration:Vintage Car Yoshino/ビンテージカーヨシノ photo: Vintage Car Yoshino/ビンテージカーヨシノ

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