見た目は程度が良かったが、ボディを解体すると次から次へと出てきた問題点|エンドレスが挑む 1965年式 カルマンギア【2】

ボディ板金はチームの一員である依田板金が行っている。パーツを組み合わせて、ボディラインを形成していく地道な作業だ。過去のレストア痕も修復する徹底した仕事

       
【1】から続く

1965年式カルマンギアタイプ1がエンドレスのレストアチームの前に現れた。2019年のオートサロンに向けて、美しく華麗に舞う1台が、また、生まれようとしている。

【エンドレスが挑む 1965年式 カルマンギア vol.2】

 パワーは十分にあるが、明らかにノーマルエンジンではない走り。専門家に調べてもらったところ、65年のタイプ1には搭載されていないはずの1.6Lエンジン。この時点で花里氏は「これはレストアしろということ」とエンジンをおろして、徹底的にレストアすることを決めた。さらに、もう1つ。

「パワーはあるけど、あまりにもハンドルが切れなくてね。フロントアクスルビーム部分を上下にカットして、溶接して、ローダウンのスタイルにしていたんだから。クルマを知らない人がカスタムしたと感じてしまったよ」

 見た目は程度が良かったが、ボディを解体すると問題点が次から次へと出てきた。ボディ表面にはラッカースプレーで塗装された部分があったり、パテがボコボコになっている個所も。フロアをはがすと、サビで朽ちている鋼板が出てきた。フロアパーツを追加して修復されていたが、防水加工が甘く、水がたまり、サビが広がっていた。

 結局、フロアが分割され、パーツごとにレストアが行われることになった。レストアしなければいけない個所が日に日に増えていったが、「これまでのレストアと比べたらマシだ」という。ワーゲン系は今でも新品のパーツが販売されているので、アドバンテージが大きい。エンジンからボディパーツまで、すべてが揃っていて、ゴム関連のパーツが出てくるのがありがたいという。

【画像30枚】見た目は程度が良かったものの、問題点は日に日に増えていった


>>アクスルパーツを組み込んだフロア部分。ボディをかぶせて、エンジンやパワートレーン、足回りを組み込めば完成だ。



>>既存のパネルをはがして、1から作り直されたフロア部分。接続部は大量のスポット溶接が施され、剛性を高めるとともに、水などの浸入を徹底的に防ぐ。見えない個所を丁寧に仕上げることで、クルマ本来の性能が発揮されるのだ。


>>手にするのは長年使い込んだ絞りハンマーと当盤。手先の感覚で作業する職人にとって、使い慣れた道具が重要。



【3】へ続く


初出:ノスタルジックヒーロー2018年10月号 Vol.189
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

エンドレスが挑む 1965年式 カルマンギア(全3記事)

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text:Isao Katsumori(Zoo)/勝森勇夫(ズー) photo:Ryota-Raw Shimizu(Foxx Bookes)/ 清水良太郎(フォックス ブックス)

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