車重920kgのターボエンジン・ミッドシップ・モンスター|1993年式 ルノー 5 ターボ【2】

リアのオーバーフェンダー前部は、Gr.5シルエットフォーミュラのごとき大型のエアスクープとされる

2BOX小型車のリアミッドシップに、ハイチューンのエンジンを搭載するという「コロンブスの卵」的着想のパイオニア。のちのシャレード・デ・トマゾ926Rなどのフォロワーを生み出した、「公道を走るシルエットフォーミュラ」を紹介しよう。

【ハチマルユーロー 1993年式 ルノー 5 ターボ Vol.2】

 アイデアを実行に移すべく、前輪駆動であるサンクのモノコックを使用しつつも後席を潔く排除し、パワートレーンを180度展開させたミッドシップに搭載。後輪を駆動する。

 このエンジンは、1970年代までルノーの高性能エンジンを一手に引き受けていた「ゴルディーニ」のあとを受け継いだルノー・スポールのヴィリー・シャティオン工房にて開発されたもので、サンクの高性能版として1977年に登場した「5アルピーヌ」の直列4気筒1393ccOHVをベースに、ボッシュKジェトロニックとギャレット社製T3型ターボを追加。160ps/6000rpmもの最高出力と、21.4kgm/3250rpmの最大トルクをマークするに至った。

 サスペンションは、前後とも標準型サンクとは異なるダブルウイッシュボーンに変更。ボディも前190/55HR340、後220/55VR365という極太のミシュランTRXタイアを収めるため、FRP製フェンダーが張り出し、まるでグループ5シルエットフォーミュラのような怪物となった。また、ルーフやドア、テールゲートはアルミ製に置き換えられている。


>> 【画像23枚】1.4Lから、160psを絞り出すターボエンジンなど。当時としては驚きの高性能だった




>> エンジン背後に、小さいが豪華なトランクが設けられる。




>> 1.4Lから、160psを絞り出すターボエンジン。当時としては驚きの高性能だった。


 

1993年式 ルノー 5 ターボ

SPECIFICATIONS 諸元
●全長×全幅×全高(mm) 3665×1750×1360
●ホイールベース(mm) 2405
●トレッド(mm) 1350/1320(前/後)
●車両重量(kg) 920
●エンジン種類 水冷直列4気筒OHVターボ
●総排気量(cc) 1397
●最高出力(ps/rpm) 160/6000
●最大トルク(kg-m/rpm) 21.4/3250
●サスペンション 前ダブルウイッシュボーン+トーションバー
後ダブルウイッシュボーン+コイル
●ステアリング ラック&ピニオン
●ブレーキ 前後ともディスク
●タイヤサイズ 前190/55HR340/後220/55VR365


【3】に続く


初出:ハチマルヒーロー 2016年 9月号 vol.37
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1993年式 ルノー 5 ターボ(全4記事)

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【1】から続く

text : HIROMI TAKEDA/武田公実 photo : MOTOSUKE FUJII/藤井元輔

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