アルピーヌ・ルノーA110に代わる、新たなアイコン。伝説のフレンチモンスター|1993年式 ルノー 5 ターボ【1】

伝説のフレンチモンスター

       
2BOX小型車のリアミッドシップに、ハイチューンのエンジンを搭載するという「コロンブスの卵」的着想のパイオニア。のちのシャレード・デ・トマゾ926Rなどのフォロワーを生み出した、「公道を走るシルエットフォーミュラ」を紹介しよう。

【ハチマルユーロー 1993年式 ルノー 5 ターボ Vol.1】

 1970年代末のルノーは、当時の最新技術たるターボチャージャーとともに、世界のモータースポーツの檜舞台へと挑もうとしていた。この時期、既にル・マンやF1GPでは確固たる手応えをつかんでいたが、一方で欧州では今も昔も格別の人気を誇る世界ラリー選手権においては、名作アルピーヌ・ルノーA110に代わる、新たなアイコンの登場が待ち望まれていたのだ。

 そんな状況のもと、1978年にデビューしたのが「5(サンク)ターボ」。その2年前、ルノー直属のモータースポーツ部門として発足した「ルノー・スポール」が開発の中心となり、南仏ディエップのアルピーヌ・ファクトリーにて生産された伝説的モデルである。

 5ターボはその名のとおり、当時のフランスにおけるベストセラーだったルノー5がベース。それは、純粋なスポーツカーたるアルピーヌA110よりも大きな大衆車マーケットへのPR効果を期待した、ルノー公団首脳陣の秀逸なアイデアによるもの。サンクの姿をしたマシンがWRCで活躍することで、サンク全体のイメージアップまで図ろうとしていたのだ。

 このアイデアを実行に移すべく、前輪駆動であるサンクのモノコックを使用しつつも後席を潔く排除し、パワートレーンを180度展開させたミッドシップに搭載。後輪を駆動する

>> 【画像23枚】専用ホイールを要するミシュランTRXのみの設定となるタイアなど。ホイールの差し色も、5ターボ2ではフラットブラックに格下げとなってしまう



>> リアのオーバーフェンダー前部は、Gr.5シルエットフォーミュラのごとき大型のエアスクープとされる。





>> ルーフ左右からリアまで取り囲む形状のスポイラーや、ドアノブなどの樹脂パーツは、ボディと巧みなカラーコーディネートを見せる。ちなみに廉価版の「ターボ2」では、黒い樹脂色そのままでコストダウンを図っていた。



1993年式 ルノー 5 ターボ

SPECIFICATIONS 諸元
●全長×全幅×全高(mm) 3665×1750×1360
●ホイールベース(mm) 2405
●トレッド(mm) 1350/1320(前/後)
●車両重量(kg) 920
●エンジン種類 水冷直列4気筒OHVターボ
●総排気量(cc) 1397
●最高出力(ps/rpm) 160/6000
●最大トルク(kg-m/rpm) 21.4/3250
●サスペンション 前ダブルウイッシュボーン+トーションバー
後ダブルウイッシュボーン+コイル
●ステアリング ラック&ピニオン
●ブレーキ 前後ともディスク
●タイヤサイズ 前190/55HR340/後220/55VR365


【2】に続く


初出:ハチマルヒーロー 2016年 9月号 vol.37
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1993年式 ルノー 5 ターボ(全4記事)

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text : HIROMI TAKEDA/武田公実 photo : MOTOSUKE FUJII/藤井元輔

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