ターボ1とターボ2の違い。オーナーの探求心から発覚した、新事実|1993年式 ルノー 5 ターボ【4】

【 OWNER 】 グループ4時代の世界ラリー選手権(WRC)に憧れた世代の一人。自身の愛車のヒストリーを掘り下げ、可能な限りオリジナルを維持することに努める

2BOX小型車のリアミッドシップに、ハイチューンのエンジンを搭載するという「コロンブスの卵」的着想のパイオニア。のちのシャレード・デ・トマゾ926Rなどのフォロワーを生み出した、「公道を走るシルエットフォーミュラ」を紹介しよう。

【ハチマルユーロー 1993年式 ルノー 5 ターボ Vol.4】

【3】から続く

 市販ロードカーとしても大きな成功を収め、グループ4ホモロゲーションにFIAが要求した400台を遥かに超える、約1800台が生産されたというルノー5ターボ。

 今回の取材車両となった、愛知県在住のオーナーの個体は、限定ナンバー#533という、ホモロゲーション用+αの時期に作られた、かなりの初期型である。1年半ほど前に入手した直後から、ボディをオリジナルカラーで再塗装するなどのレストアを施したオーナーは、ペイントを剥離した際に、ボディパネルの多くが間違いなくアルミ合金製であることを確認したという。

 一方、5ターボのあとを継いだ普及版である「5ターボ2」は量産のしやすさを意識してスチールボディに切り替えられたというのが定説となっているが、オーナーいわく、実はごく初期の生産分を除いて、5ターボ時代から既に5ターボ2と同じくスチールパネルに移行していたことを、限定ナンバーがより大きな数字となる個体で確認したという。

 つまり今回の取材車両は、すべて希少なルノー5ターボの中でも、特に貴重な一台ということになるようだ。

 また、ブルーメタリックにちょっと明るいブルーの樹脂パーツが組み合わされた同車両のエクステリア。同じくブルーのレザーを多用したインテリアのコンディションも素晴らしい。恐らく「日本一の5ターボ」ではないかと思われるのである。


>> 【画像23枚】もとより限定モデルの意味合いが強かったため、用意された限定ナンバーなど。この個体は#533。
 限定No.のほか、当然正規のシャシーナンバーも設定される





>> メーカープレートが用意され、正規の生産モデルであることを示している。






1993年式 ルノー 5 ターボ

SPECIFICATIONS 諸元
●全長×全幅×全高(mm) 3665×1750×1360
●ホイールベース(mm) 2405
●トレッド(mm) 1350/1320(前/後)
●車両重量(kg) 920
●エンジン種類 水冷直列4気筒OHVターボ
●総排気量(cc) 1397
●最高出力(ps/rpm) 160/6000
●最大トルク(kg-m/rpm) 21.4/3250
●サスペンション 前ダブルウイッシュボーン+トーションバー
後ダブルウイッシュボーン+コイル
●ステアリング ラック&ピニオン
●ブレーキ 前後ともディスク
●タイヤサイズ 前190/55HR340/後220/55VR365






初出:ハチマルヒーロー 2016年 9月号 vol.37
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1993年式 ルノー 5 ターボ(全4記事)

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【1】【2】から続く

text : HIROMI TAKEDA/武田公実 photo : MOTOSUKE FUJII/藤井元輔

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