【 歴史に残るターボ車たち】
国産市販車で初めてセドリック/グロリアに搭載し、それを追うように各メーカーがしのぎを削って開発したターボエンジン。その革新的メカニズムには、さまざまなテクノロジーが組み合わされ、ツインカムターボやツインターボへと発展していった。多くの若者を熱狂させたターボエンジンは、80年代を代表するテクノロジーのひとつなのだ。
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カラートリム「826」。ブルーイッシュブラック・メタリックを示す数字だ。DR30スカイラインといえば、レッド×ブラックまたはガングレー×ブラックの2トーンカラーが圧倒的に人気が高く、ホワイトもよく見かけるボディカラーだ。しかし、前述のブルーイッシュブラック単色のDR30が存在したことをご存じだろうか。それが今回紹介する個体だ。
世界で唯一ロータリーエンジンの量産化に成功したマツダにおいて、ピュアスポーツカーとして長らく愛されてきたサバンナRX-7。とくに2代目となるFC3Sは、「プアマンズ・ポルシェ」や「広島ポルシェ」などと揶揄されることもあったが、生産終了から四半世紀経った今でも多くのファンに愛されている、国産スポーツカーの代名詞である。
1980年代に一気に普及したターボとツインカム。排ガスでタービンを回し、高圧で吸入空気をエンジンに押し込むターボは、手軽にパワーを出すことができる。一方、その名の通りシリンダーヘッド部分に2本のカムシャフトを持つツインカムは、吸気バルブと排気バルブをそれぞれのカムシャフトで直接作動させるため、高回転に強く、優れたレスポンスを得ることが可能。これら2つのメリットを組み合わせた夢のようなエンジンが、ツインカムターボだ。1970年代までの国産車では皆無だったが、トヨタが他メーカーに先駆けて3T-GT型を発表。ここで登場するA63セリカも、その珠玉のユニットを搭載した1台である。
1979年に国産初の量産ターボ車として430セド/グロをリリースした日産。1983年にデビューしたY30セド/グロでは、日本初のV型6気筒エンジンを搭載するとともに、ターボをドッキングして注目を集めた。このように日産は、ターボに対して常に前向きな姿勢を見せてきたが、ハチマル車の代表格といえるF31レパードでもターボエンジンを積極的に搭載してきた。
ターボ全盛の1980年代。各メーカーは次々にターボエンジンを開発・投入し、瞬く間に軽自動車から大排気量セダンまで全カテゴリーがターボエンジンで埋め尽くされた。しかし、その波に乗らなかったメーカーがある。ホンダだ。とはいっても、まったく参入しなかったわけではなく、わずか2種類だけだがターボエンジンをリリースした。それが1.2L・直列4気筒SOHCターボと2.0L・V型6気筒SOHCターボだ。後者はこの時代に登場した多くのターボエンジンに埋もれてしまい、現在では記憶の片隅にかろうじて断片が残っている程度という人も多いだろう。それがレジェンドに搭載されたエンジンだ。
ベーシックカーながらクオリティーにこだわったFFジェミニは、デビュー翌年にスポーティーモデルを追加。それがイルムシャーだ。ドイツのチューナーであるイルムシャー社が手がけたこのグレードは、エアロパーツを装着し、チューニングサスペンションや大径フロントベンチレーテッドディスクブレーキを装備。スポーティーな装いとコンパクトサイズならではの軽快な走りを実現した。そのキーポイントとなっているのが、1.5L直列4気筒にターボをドッキングした4XC1型ターボエンジンだ。
1989年に登場したレガシィは、優れたユーティリティー性能だけではなく、従来のワゴンではありえなかった優れた走行性能も大きな注目を集めた。エンジンはスバル十八番の水平対向で、新設計のEJ型を搭載。2.0LはDOHCのEJ20型となり、可変吸気コントロールシステムやマルチポイントシーケンシャルインジェクション、ダイレクトイグニッションなどを採用。そしてターボ仕様は、水冷式インタークーラーや水冷式オイルクーラーを装備し、ハイパワーと高い信頼性を両立。200ps/26.5kg-mというスペックを実現したのだ。
国産66機のデータ掲載! ターボエンジン百花繚乱。時代のエンジンたちを登場順に紹介!
1980年代初頭に花開き、百花繚乱となったハイパワー系ターボエンジンたち。
メーカー別に登場順で年を追って紹介していく。
1970年代、日本の自動車メーカーは環境対策や安全対策に振り回され、何度も煮え湯を飲まされた。排ガス対策を見事に成し遂げた日本のエンジニアと首脳陣は、自動車を再び晴れ舞台に立たせるために必要なのは「技術革新」だと考えるようになる。高度なテクノロジーを積極的に採用した量産車こそ、生き残る道だと悟ったのだ。
初出:ハチマルヒーロー 2016年 7月号 vol.36
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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