OS技研のテクノロジーが結集。TC24-B1Zの腰下を採用した、L28型3.2Lキット

       
富士スピードウェイ1分56秒269を記録する性能はまさにレーシング。
L型の最高峰ユニットとなるTC24-B1Zにあこがれつつも、手が届かず、導入を見送っているL型フリークはきっと多いことだろう。
OS技研が新しく発売するL28型改3.2Lキットは、そんなTC24-B1ZのDNAを持つプレミアムな排気量アップキットだ。
どんなハードチューンにも、圧倒的なパフォーマンスと強度を誇るこの腰下はビクともしない。

【OS技研 L28型改3.2Lキット】

 OS技研TC24‐B1Zエンジンといえば、ツインカムヘッドばかりが注目されるが、DOHC化による高回転・高出力な特性に追従できる腰下の確かな性能があってこそ成立する。TC24‐B1Zの開発に当たっては、当然ながら腰下も同時に設計されており、組み込まれるパーツはヘッドまわり同様、異次元の回転とパワーに耐えられるスペシャルなパーツばかりだ。

「素材の持つ能力と鍛造製法の利点を生かしてパーツを設計してある。だからこの腰下は、強ええんじゃあ。見た目や、名ばかり鍛造の軟弱なパーツに、TC24の腰下は絶対に務まらん」
 TC24‐B1Zの開発の指揮を執り、腰下の設計に注力したOS技研の岡崎正治社長は、このキットのポテンシャルの高さをそう語る。見た目ではなく真の性能を追求する。そのためには素材を知り、製法を理解することは設計の基本と岡崎社長はいい切る。

「木のことが分からん大工に、丈夫な家が建てられたためしはねえ」と。
 そんな岡崎社長の高回転・高出力エンジン設計に対するこだわりが最も強く現れているのがコンロッドだ。一見、よく目にするI型形状のコンロッドだが、実は強度が一般的なそれとは大きく異なっており、そのポイントが強じんなキャップ部だ。一般的な鍛造コンロッドが成形後に切断して本体とキャップ部に分けられるのに対し、TC24用のコンロッドは、本体とキャップがそれぞれ個別に鍛造成形されているのだ。この分割鍛造の目的は、鋼材の理想の繊維を破断させないため、そして応力のかかる方向に金属繊維が向かうように鍛造し高い強度を保つためだ。さらにTC24用のコンロッドは、加工が最小限なところもポイント。これは、熱間鍛造製法の「先に冷える表面部分がもっとも強い」という特性を生かすもので、このあたりも素材や製法の特性がフルに発揮する設計になっている。よく見るとOS技研製のコンロッドは、少しばかり荒削りだ。しかし、そんな美しすぎない見た目こそが、超高回転域での爆発的な負荷を許容するコンロッドの正しい姿だ。

>>【画像18枚】OS技研 L28型改3.2Lキット:TC24-B1Z用に設計された腰下パーツからなるキット詳細

 加えて、フルカウンタークランクもTC24用に設計された特別仕様。まず、黒い表面はタフトライドの一種であるSQ処理が施されているもので、一瞬の油膜切れならばクランクを傷めないという実に頼もしい表面処理だ。タフネスな鍛造I型コンロッドとフルカウンタークランクに、アルミ製鍛造ピストンを組み合わせ、ボアφ89mm×ストローク86mmとなり、総排気量もTC24同様3208ccとなる設定だ。

 素材からこだわった鍛造ピストンは、リセスやハイト、スカート形状まで指定可能。また、ピストンのピンやリングにもTC24のための特別な技術がふんだんに盛り込まれているOS技研のL28型3.2Lキットなのだ。


初出:ノスタルジックスピード 2018年11月号 vol.018
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

OS技研 L28型改3.2Lキット(全1記事)

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text : ISAO KATSUMORI(ZOO)/勝森勇夫(ズー) photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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