TC24-B1Z専用のカムやピストンは、精密加工によって生まれる!

カムもピストンも加工に最適な外気温は20℃前後。寒暖差の激しい時期を避け、工場内をなるべく20℃に近づけて行われる

       
許容回転数10000rpm。生まれながらのレーシングエンジンであるOS技研のTC24-B1Zは、組み込まれるカムやピストンも、このエンジンのために設計された専用パーツ。
超高回転の高負荷に対応すべく、精度も、耐久性も、一般的な部品のそれを遥かに上回る。
加工における公差もほとんど許さず、作業はすべてミクロンレベルのオーダーとなる。
今回は、そんな超精密なTC24専用パーツの加工現場に侵入した。

【 OS技研 TC24-B1Z 加工編 Vol.1】

 TC24‐B1Zのカム加工は、岡崎正治社長自らが手で削って成形する「種カム作り」からスタートする。種カム作りは、種カムをヤスリで削ってはヘッドに仮り付けして、プロフィールを確認してはまた削り、削り過ぎた場合はろう付けして、さらに削るという地道な作業で、社長は、この工程を納得のいくプロフィールになるまで繰り返す。最先端の機器を使って行われる超高精度なカム加工も、スタート時点は完全ハンドメイド。OS技研のTC24‐B1Zのカム加工の現場は、社長のイメージしたプロフィールを寸分の狂いなく再現しているのだ。

 そんな、設計図のない、岡崎社長の手作りした種カムだけをたよりに進められるTC24‐B1Zのカム加工の工程は、1:種カムからマスターカムの製作、2:クロモリ棒からブランクの製作、3:基準面作り(荒削り)、4:本研磨の作業順で、最終的には軸受研磨や焼き入れといった工程が加わる。

 1のマスターカムの製作は、アナログレコードの原盤を作る作業と同じだ。種カムの形状を反転して記憶するマスター盤を作り、この形状を研削機でトレースし、カムを複製していく。2ブランクの製作とは、素材となるクロモリの棒を、おおよそカムシャフトの形に加工する作業のこと。3の荒削りは、カム山を正確に研磨加工するための基準面を作る工程。TC24のカム加工では、カム山が研磨機に触れ始めるポイントから6mm手前まで荒削りする。そして、4がカム加工の山場。種カムのプロフィールを寸分の狂いなく再現する、本研磨だ。カムの研磨加工における最重要工程で、研削盤に入力される数値は、1000分の1mm単位というシビアさだ。レーシングパーツさながらの精密さで、TC24-B1Zのカムプロフィールは成形される。


>>【画像33枚】10000rpmを許容すTC24-B1Zの専用パーツ等



>> 種カムからマスターカムを製作 TC24のカムは岡崎社長の頭の中だけにある。ベースとなる種カムは社長が試行錯誤を繰り返して手作りしたもの。それをベースに図面で確認される。





>> 種カムを元に作られたマスターカム。この形状を研削盤がトレースし、カムのプロフィールを複製していく。誤差を小さくするためマスターは10倍比率で作られる。





>> カムの形状におおかた切削したブランクを研削盤にセットし、寸法出しの原点を決める。切削盤を作動しブランクと砥石が当たり始めるポイントが原点。



Vol.2に続く

初出:ノスタルジックスピード vol.019 2019年2月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

OS技研 TC24-B1Z 加工編(全2記事)

関連記事:TC24-B1Z

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text : ISAO KATSUMORI(ZOO)/勝森勇夫(ズー) photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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