新三菱重工業の自動車事業本部が「三菱自動車工業」として独立した年に販売開始|1973年式 ダッジ コルト 1600 ステーションワゴン

排気量1.6Lのモデルは、1971年マイナーチェンジ後の日本国内後期型に相当する。

       
クルマの世界でOEM(相手先ブランド)モデルというのは、現在、日本国内で発売されている新車でもかなり多く存在している。時をさかのぼって1970年代のアメリカでは、ビッグスリーの一角、クライスラーでも、三菱自動車と提携して小型乗用車のOEMモデルを用意、ダッジ・ブランドで販売していた。そんな1台がここで紹介するダッジ・コルトワゴンだ。オーナーとそのフィアンセの生活の足として使われる赤いワゴンを紹介する。

【1973年式 ダッジ コルト 1600 ステーションワゴン Vol.3】

【2】から続く

●コルトの車名を使い続ける
 ダットサンを筆頭とした日本車が、北米市場で人気を獲得し始めた60年代終盤から70年代にかけて、三菱の取った北米市場戦略は自社進出ではなく現地メーカーとの提携だった。その相方はアメリカ・ビッグスリーの一角、クライスラー。両社の提携が成立したのは1970年のことで、それまでの新三菱重工業の自動車事業本部が「三菱自動車工業」として独立した年でもあった。

 当時のアメリカの自動車メーカーはどこも、日本から輸入されてくる小型車の人気に立ち向かうすべもなく、年々拡大する小型車市場に焦りをつのらせるばかりだった。提携に伴って三菱が完成車を提供し、クライスラーがOEM販売する。第1弾となったのは1969年末に国内で発売されたコルトギャランだ。これがクライスラー社のダッジブランドの下で「ダッジ・コルト」の名称を与えられ、提携成立の1970年からいよいよアメリカでの販売が始まった。

 ダッジ・コルトは2代目にはニューギャラン、3代目はランサー、4代目からは1978年登場の三菱初のFF車ミラージュと車種を変えながら続いていった。大型化していく日本国内仕様車種とたもとを分かち、クライスラーの望んだ小型車というコンセプトを保ちながら、日本では途絶えた由緒ある「コルト」の名をアメリカの地で1994年までリレーしていったのだった。

>>【画像14枚】一部白いプラスチックで覆われている、ハッチのヒンジ部分など



三菱は早くからチルトステアリングを採用していたことも特徴の1つで、ステアリングコラムの脇にあるノブで角度を調整するようになっていた。ダッシュ全体の形状はマイナーチェンジ前のもので、前期型同様の角メーターを備えていた。


【4】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2016年 6月号 Vol.175(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1973年式 ダッジ コルト 1600 ステーションワゴン(全6記事)

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【1】【2】から続く

text & photo:HISASHI MASUI/増井久志

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