強烈ワイドボディを国産V8心臓でドーピング! スタンスシーンのアワードを総なめにした、N2カラーのAE86 レビン!

ベースモデルは後期だが、前期バンパー専用設計となったハーフスポイラーを装着するために前期バンパーへ変更後、後期ウインカーを移植。バンパースポイラーも設定されていたが、N2マシンらしさが損なわれるとみおくった。

       
昭和車ならではのシャープなボディラインを逞しく際立たせる、リベット留めのワークスフェンダー。スーパープライベーターとしてハチロクカスタムを突き詰めてきた凄腕プライベーター「イナズマワークス」が作り上げたスタイルは、ハチロクの究極形態といっても過言じゃないN2マシン仕様に、V8エンジンや独創的インテリアを融合させたものだ。

 これまでのハチロクカスタムを振り返れば、和洋ミクスチャーのナローボディでカバーカーを射止めたパンダトレノ、スタンスネイションジャパン東京2017で総合アワードを獲得したバーフェン仕様のレビンと、ストリートスタイルを貫いてきたイナズマワークス。

 そんなハチロクマイスターに、2019年のSEMAショーでパンデムが披露したAE86ボディキットを見た瞬間、衝撃が走った! 近未来感を織り交ぜたレーシングスタイルのカスタムイメージがイッキに湧き上がり、所有するレビンの大幅モディファイを決意することに。

 ということで、まずは閃きのきっかけとなったエクステリアだが、パンデムのボディキットを軸に据えて、AE86ユーザーの憧れとなるTRDワークスカラーで展開。ただし、キット構成に含まれていたGTウイングはTRDのN2リアスポイラーへ置き換え、リアボトムにワンオフディフューザーをあしらっている。

 また、5.5A‐G仕様のシェイプドベイやワイヤータックで魅せていた心臓部には、8連スロットルを与えた1UZを投入! 単にスワップするだけならオーナーにとって容易い作業なのだが、フェンダーアーチの高いパンデムに合わせて車高を下げていくとオイルパンなどのロードクリアランスが確保できない。

 そこで、ボンネット加工することなく低さもアピれる搭載位置を模索し、ワンオフのエンジンマウントだけでなく、ミッション位置を引き上げるためのフロアトンネル張り替えまでも遂行した。

 こうした作り込みだけでもホレボレする仕上がりだが、真の見どころとなるのは近未来のレーシングカーイメージを表現するインテリアだ。

 真っ先に目に飛び込んでくるのは、ハチロクといえば、アナログメーターや無数のトグルスイッチが当然だったコクピット回りをデジタル化したディスプレイやPDM制御スイッチ、近未来的デザインのレカロRMSだろう。

 さらに見逃せないのは、ビーディング加工を施してトリムやダッシュボードなどに与えたアルミパネル。ガンメタ&ブラックに染めたインテリアへなじむよう、マットブラック仕上げにしたことで派手な主張こそしていないが、難易度が高いビーディング加工で刻み込んだラインは、パネル剛性を高めるとともにデザイン性まで徹底追求したシロモノ。追加バーを加えたロールケージレイアウトも斬新で、レーシングカーらしいスパルタンさを引き出しつつ、美術品のような機能美へと落とし込んでいる。

 張り替えたフロアトンネルへ添わせるように展開する2本のストレートバーはビーディング施工したアルミパネルでコンソールのように仕上げられ、ナビシートのフットパネルもフロア直付けではなく、追加バーとコンビネーションさせてセットアップ。じっくり眺めていくと、ここでも近未来的なレーシングテイストを強く放っていることがわかるだろう。

 あまりに見どころが多すぎる1台ゆえ、要点のみの紹介となってしまったが、すべてを語らずとも研ぎ澄ました完成度の高さは伝わるハズ。ハチロク愛とカスタムの探究心が極まった作り込みに、2度目のカバーカー登場も納得だ。






【画像26枚】今回の取材車両は過去に2回取材。最新車種のような近未来的なコックピットな仕上がり!全貌はコチラ!



>>5.5A-G時代はマスターシリンダーなどを残していたが、V8搭載のクリアランス確保もあってバルクヘッドはフルシェイプ。2JZ搭載と悩んだうえ、ハチロクのエンジンルームに美しく映えるセルシオンの1UZ初期モデルをチョイスして最新フルコンのリンクG4Xでマネジメントする。



>>ダッシュボードの造形を崩してしまうのではなく、ビーディング加工したアルミパネルを使って近未来的かつレーシーに演出する。


初出:カスタムCAR 2021年6月号 Vol.512

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

Base Car:1987年式 カローラレビン・GT-V(3ドアハッチバッククーペ)
協力:イナズマワークス
Special Thanks:Neo Style、日興鉄工所

PHOTO / 南井浩孝 TEXT / 四馬力

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