かつての人気車が現代技術によって復活!大和魂とカスタム魂を併せ持つ現代進化版街道レーサー!

Base Car:1979年型 コロナマークⅡ ハードトップ(GSL)

       
カスタムという言葉や文化が定着する以前の日本のモーターカルチャー黎明期。’70年代半ばから’80年代は、現代とはまったく異なる自動車文化が栄華を極めていた。娯楽としてクルマ好きな若者の間ではレースが一大ブームを巻き起こし、日本最高峰のカーレース「富士グランチャンピオンレース」は全国から若者が詰めかけるほどの大盛況。このブームとともにグラチャンに参加するレーシングカーをモチーフとした改造車=街道レーサー(=グラチャン仕様)は爆発的に広まりを見せていったのだ。

 その後の変遷や混沌っぷりは、いわゆる即席のお祭り仕様(お正月仕様ともいう)とは異なる、正統派チューニングカーとしての街道レーサーも派生し、後の走り屋などのモーターカルチャーの礎として変化していったのもこの頃だった。

 そして、現在。当時の混沌さや、ツッパリ文化と負の歴史を知ってか知らずか、平成生まれの若者や海外のコアなJDMフリークの間で、オールドスクールな手法として街道レーサーが認知されつつあるのも、近年のカスタムシーンを取り巻くひとつの流れなのだ。

 そんな長い前置きから紹介するのが、前後にシンプルなエアロをまとったドシャコの’79年型マークⅡ。いかにもなハチマキやどギツイ赤色のロールバー、チンチラ張りが垣間見えるインテリアはトラディショナルな昭和街道レーサーそのもの。しかしながら、ディテールや中身は現代のチューンドにも匹敵。さらには旧車カスタムシーンでも中々お目にかかれぬ激低&足元美を併せ持つ、街道レーサーの正統進化バージョンなのである!

 大和魂が炸裂する当時のヤン車を、現代に甦らせたのがホイールのレストア&激低旧車カスタムを生業とするイザナミの社長。もちろん当時を懐かしんでのトレースではなく、現代的旧車カスタムのメソッドをふんだんに詰め込んだ。

 ハイライトは足回りのセットアップ。緻密なツラを計算しフロント9.5J OUT33、リア10J OUT43の極太にワイドカスタムしたレアな当時モノのベルレーシング。そんな極太リムを純正フェンダーに収めるべく、足回りのナロードほか、大掛かりな加工を敢行。こだわりの生足シャコタンも、走行性能もアライメントなんて度外視の当時とは異なる緻密なセッティングでストレスフリー。

 また、足回りに加えて現代流のテクニックが加えられるのがパワーユニット。当初は1Gへのスワップを検討していたが、もはやハイカムなどのパーツは皆無。そこでたどり着いたのが、トヨタの名機1JZというワケ。もちろん単純にスワップするのではおもしろくない。そこでBC製のカムなどを使用してエンジンをチューン。旧車らしいスタイルにこだわったウエーバー製の6スロに、最強のリンク製コンピュータへと制御系も変更。極め付けは純正のボールジョイント式ステアリング機構から、GX71用のラックアンドピニオンへ変更したこと。パフォーマンスからハンドリングに至るまで、現世代までアップデートが図られているのだ。

 当時の情報と技術では成しえない技をトラディショナルな族車スタイルに封じ込めたフィニッシュは、過去をトレースした街道レーサーと一線を画す、オールドスクールなJDMの最先端なのだ!







【画像21枚】エンジンはトヨタの名機、1JZを搭載。しかし旧車らしさを残すため、カバー類などは取り除く工夫をした!全貌はコチラ!



>>大衆車「コロナ」からワンランク上のクラスへと発展させた3代目がこのブタ目と呼ばれるコロナマークⅡ。ミドルアッパーを狙ったモデルということもあり、エンジンは直6 2.6Lを最高峰に、1.8Lまでラインナップ。ボディは4ドアセダンと2ドアハードトップ、ワゴンなどを用意していたが、当時の若者人気はダントツで2ドアハードトップに集中していた。日本の族車好き外国人からは、恰好のベースとして高い人気を獲得している。



>>ブタ目にレトロな欧州車的風情を感じ取ったビルダーは、定番のヴィンテージリムは避け、マニアックなエンケイ・ベルレーシングをセットアップ。有名な国産旧車御用達のホイールとは一線を画す細身のスポークは、ビルダーの狙い通りに旧車らしからぬ新鮮さとエキゾチックなオーラを醸し出す。カスタムはもちろんイザナミが担当。



>>ディスクの修正の上、ウェットブラストし完全再生。イザナミが金型より完全再現した角型アウターリムを組み上げ、当時は存在しなかったフロント9.5J OUT44 (ともに”14”)の極太サイズ化&当時以上の輝きを実現している。合わせたタイヤサイズはフロント175/60R 14、リア185/55R 14。


CONSTRUCTOR SHOP

IZANAMI株式会社
☎04-7111-1523

本来のホイール製造工法を軸にしながら新技術を採り入れ、数多くの旧車ホイールの再生&深リム化を行ってきたアルミワイドのパイオニア。
”伝統を守り、伝統を創る”
というフィルターを通し、旧車ホイールにマッチした激低旧車カスタムを手掛ける。伝統を重んじ、さらに先進性を融合した、唯一無比感性を体現するクルマ作りが、国内はもとより世界で称賛を受けている。



初出:カスタムCAR 2018年12月号 Vol.482

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

Base Car:1979年型 コロナマークⅡ ハードトップ(GSL)
協力:IZANAMI株式会社

PHOTO / 南井浩孝 TEXT / 渡邊大輔

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