ベスト5 メタリックなキャビンと浮世絵で一世を風靡 伸成丸

カネショウのなかでも他車とはイメージが異なる箱のレタリング文字や浮世絵の採用など、独創的な世界観でまとめあげた看板車。

       


全身をウロコステンレスで包む一方、フロントパネルはメッキを採用したり、箱上に設けたパイプにカラフルなマーカーを並べたり、ライトベゼルをバイザーと同じ緑で彩るなど、独自性極まるこだわりをあますところなく投入。

半年かけ完璧に仕上げた。

カネショウにある6台の保冷車のいずれにもリヤには観音が描かれているが、こちらの車両には観音扉に武者侍、浮世絵が描かれている。

「リヤの観音は、国宝の巻き物の絵からとったそうで、みんな少しデザインを変えてある。まあ、それがカネショウだとすぐわかるようになっているんです。守り神みたいなものですね」。

たびたび本誌でもリヤの観音は登場しているので、今回はカット。その分、内部をバッチリみせてしまう。

助手席のインパネには、ズラリとスイッチ類が並ぶ。もちろん、アンドンやマーカー類のスイッチだ。

「自分でもときどき、どのスイッチなのか間違えてしまうこともあるよ。 配線が複雑だから故障すると修理が大変。それにヒューズがよく切れるから、いつも10個ぐらいスペアを持っている。サイドのマーカーランプをよくぶつけて破損したり、球が切れたりするのもめんどうくさいことのひとつだネ」。

しかし、それでいて、夜になると全開といかないまでも、半数のランプは点灯するという。カネショウは昼と夜の“顔”が売り物。どちらも負けられないといった自負がある。

このトラックは55年型で、現在、31万km走っている。飾りは半年かけ、クルマを入れた総額で1500万円。今日も長距離を走っていることだろう。

各所の写真はコチラから。

文:編集部 カミオン1985年3月号をもとに再構成

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