NorCalで勇名を馳せるダルマセリカ。500ドルで入手し19年間かけてモディファイ|1972年式 トヨタ セリカ Vol.1

ヘッドライトはBMW3シリーズのプロジェクタータイプを備え、HIDを使用。

       
JCCSの会場で出合った1台のセリカ。美しくリクロームされたトリムと漆黒のボディが、カリフォルニアの日差しを受けて光り輝いていた。リアフェンダーに飲み込まれたドラッグラジアルを見れば、ただ者ではないことはすぐに分かった。19年間をかけて注ぎ込まれた、オーナーの愛情をひも解いていこう。

【1972年式 トヨタ セリカ Vol.1】

 ケリー・ミラーさんが1972年式セリカを購入したのは1998年のこと。費用はわずか500ドルだったそうだ。それから19年間の長きにわたり、ほぼジャンクに近かったセリカに、こつこつと手を加えていった。
 16歳の時からずっとクルマいじりを続けてきたミラーさん。現在はプロのリペアマンとして「ケリーズ・オートモーティブ」というショップを経営している。本業は整備や修理という、いわゆる街のクルマ屋さん。だが、もちろん請われればカスタマーのクルマ作りも手伝っている。
 ショップがあるのは、ノーザンカリフォルニアのカーマイケルという街で、州都であるサクラメントからも近い。ミラーさんいわく、近郊のカーカルチャーはサザンカリフォルニアに比べれば「スロー」らしく、ショーカーやレーシングカーを作りたいというニーズも高くない。
「昔はドラッグレースもよく走っていたんだけど、最近は近所のレース場も随分減ってしまった。だからいまはストリートがメイン。JCCSに来るといつも刺激をもらえるよ。ここは本当に最高の場所だね(笑)」


>>【画像32枚】もとの外装部品は一度すべて取り外された後、レストアを実施。ストックの見た目を保つのを念頭にしながら、メッキ部品はすべてメッキ処理をしなおしているボディなど



ボンネットのベントも美しくリクローム。





ミラーさんはなんとCNC設備を駆使したアルミビレット製グリルまで製作! 構想とコーディングに約100時間、マシンの稼働に約30時間をかけ、45ポンド(約20kg)あった6061番のアルミの塊を削り出して完成!!






リアに備わる給油口のリッドをレストアするとともに、バッテリーのキルスイッチも製作。





1JZ型エンジンスワップに右ハン化! 内外装も美しくフィニッシュ



1972年式 トヨタ セリカ(RA21)
SPECIFICATION 諸元
■エクステリア:ブラック2ステージカラー、リクロームテールライトベゼル、ガスドア、ヘッドライトバケット、フードベント、ドアハンドル、3Dプリンターブッシング、バッテリーキルスイッチ、BMW 3シリーズプロジェクターヘッドライト、HIDバルブ、各種LED化
■エンジン:1JZ-GTE型エンジン、Crower 268/276ステージ2カム、ARPヘッドスタッズ、72mmターボチャージャー、HKSアジャスタブルカムギア、
 3.5インチIN/OUTカスタムインタークーラー&パイピング、HKSブローオフバルブ×2、φ60mmウェイストゲート
■吸排気系:3.5インチMandrel-Bentエキゾースト、Flow masterマフラー、カスタムアルミインテークマニホールド、φ100mmスロットルボディ
■点火系:後期型トヨタスマートコイル
■燃料系:ボッシュ160lbインジェクター、Aeromotive 20ガロン燃料タンク、フューエルレギュレーター、A1000フューエルポンプ、
 フレックスフューエルアルコールセンサーE85
■制御:AEM 30-6100 ECU
■駆動系:TH350シボレートランスミッション、ATIフルリバースバルブボディ&トランスブレーキ、トヨタ8インチトラックリアエンド4.10ギアセット
■サスペンション:KONIフロントコイルオーバー、QA1 12インチ長 φ2.5インチスプリング140lbレート、Techno Toy Tuningフロントアジャスタブルキャンバープレート&ロワコントロールアームボックスキット、アジャスタブルレングスコントロールアームエンド、KE70カローララックアンドピニオン右ハンドルコンバート、T3アジャスタブルタイロッドキット、T3ロワコントロールステアリングアーム、T3 RCAマウント、Chris Alston 4リンクリアサスペンション、カスタムマウント、QA1アジャスタブルコイルオーバーショック、12インチ長φ2.5インチスプリング120lb、Chris Alston リアアンチスウェイバー&ダイアゴナルトラックバー
■ブレーキ:アルミ製4ピストンフロントキャリパー、1ピストンリアキャリパー、11.5インチ22mm厚フロント・リアブレーキローター、カスタムマウントブラケット、後期型トヨタショートハウジング15/16thマスターシリンダー、カスタムマシンドブースターデリートブラケット、カスタムフルードリザーバー、Mk3-4スープラホイールディスクブレーキプロポーショニングバルブ、フロントラインロックブレーキ、スチールメッシュブレーキライン、マスターシリンダーアルミヒートシールド
■インテリア:KIRKEYアルミフレームシート&パッドカバー、カスタムセンターコンソール、ブラックカーペットパッド、豪州仕様右ハンドルダッシュ&メータークラスター&グローブボックス、Precision Performanceシフター、5点式シートベルト、MOMOレースステアリングホイール、カスタム4ボタンパネル、クロスヘッダー、KENWOODステレオ&4ウェイスピーカー、2ダッシュカメラ
■タイヤ:BFグッドリッチ (F)コンプTAタイヤ195/50-15 (R)ドラッグラジアル 325/50-15
■ホイール:Center Line Wheels 15×5.5(F) 15×12.0(R)

【2】に続く

初出:ノスタルジック スピード 2018年2月号 vol.015
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 トヨタ セリカ(全3記事)

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photo : AKIO HIRANO/平野 陽 text : HIDEO KOBAYASHI/小林秀雄

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