「Why not?」思いついたのでやってみたセリカ右ハンドル化|1972年式 トヨタ セリカ Vol.3

もとの外装部品は一度すべて取り外された後、レストアを実施。ストックの見た目を保つのを念頭にしながら、メッキ部品はすべてメッキ処理をしなおしている。

       
JCCSの会場で出合った1台のセリカ。美しくリクロームされたトリムと漆黒のボディが、カリフォルニアの日差しを受けて光り輝いていた。リアフェンダーに飲み込まれたドラッグラジアルを見れば、ただ者ではないことはすぐに分かった。19年間をかけて注ぎ込まれた、オーナーの愛情をひも解いていこう。

【1972年式 トヨタ セリカ Vol.3】

【2】から続く

 ベースは左ハンドルの北米仕様なのだが、KE70カローラのラック&ピニオン、T3の調整式タイロッドなどを使用して右ハンドル化。自ら「クレイドル(包み込む)・クロスメンバー」と名付けたオリジナルのメンバーをファブリケートして、ラックをマウントしている。

 なぜ、わざわざ右ハンドルにしたのか尋ねたら、ミラーさんは即答した。
「Why not? 」
 その一言に、ミラーさんのチャレンジスピリットとモディファイにかける情熱が、すべて表現されているように思った。
「アメリカ、特にカリフォルニアでは右ハンドルがレアだからということももちろんあるけど、おもしろいと思ったからやってみただけだよ(笑)。思いついたことは、まずやってみる。それが私のスタイルなんだ。もちろん失敗することだってあるけど、またやり直せばいいだろ?(笑)」

 エンジンのワイヤリングとボディのペイント以外の作業は、友人の協力を得ながら、すべて自分で行ったというミラーさん。トライ&エラーを繰り返し、経験を積み上げてきた男だけが浮かべられる、誇らしげな笑みを返してくれた。

>>【画像32枚】ごく自然にインストールされている1JZ-GTE型直列6気筒。Crowerのステージ2カムシャフトを備えてハイリフト化。ボッシュのインジェクターを備え、AEMの30-6100ECUで制御されているエンジンなど



オーストラリア仕様の右ハンドル用ダッシュボード、メータークラスター、グローブボックスを移植。センターコンソールは1から作り直されているが、オリジナルのラインを崩さないように配慮されている。





ドラッグレース用として有名なKIRKEYのアルミフレームシートを装備。街乗りがメインなので、パッドも装着。





失敗を恐れることなく、なんでもトライすることが信条のミラーさん。セリカの右ハンドル化も「やってみたら、そんなに難しくないよ」といってのけるタフガイだ。


1972年式 トヨタ セリカ(RA21)
SPECIFICATION 諸元
■エクステリア:ブラック2ステージカラー、リクロームテールライトベゼル、ガスドア、ヘッドライトバケット、フードベント、ドアハンドル、3Dプリンターブッシング、バッテリーキルスイッチ、BMW 3シリーズプロジェクターヘッドライト、HIDバルブ、各種LED化
■エンジン:1JZ-GTE型エンジン、Crower 268/276ステージ2カム、ARPヘッドスタッズ、72mmターボチャージャー、HKSアジャスタブルカムギア、
 3.5インチIN/OUTカスタムインタークーラー&パイピング、HKSブローオフバルブ×2、φ60mmウェイストゲート
■吸排気系:3.5インチMandrel-Bentエキゾースト、Flow masterマフラー、カスタムアルミインテークマニホールド、φ100mmスロットルボディ
■点火系:後期型トヨタスマートコイル
■燃料系:ボッシュ160lbインジェクター、Aeromotive 20ガロン燃料タンク、フューエルレギュレーター、A1000フューエルポンプ、
 フレックスフューエルアルコールセンサーE85
■制御:AEM 30-6100 ECU
■駆動系:TH350シボレートランスミッション、ATIフルリバースバルブボディ&トランスブレーキ、トヨタ8インチトラックリアエンド4.10ギアセット
■サスペンション:KONIフロントコイルオーバー、QA1 12インチ長 φ2.5インチスプリング140lbレート、Techno Toy Tuningフロントアジャスタブルキャンバープレート&ロワコントロールアームボックスキット、アジャスタブルレングスコントロールアームエンド、KE70カローララックアンドピニオン右ハンドルコンバート、T3アジャスタブルタイロッドキット、T3ロワコントロールステアリングアーム、T3 RCAマウント、Chris Alston 4リンクリアサスペンション、カスタムマウント、QA1アジャスタブルコイルオーバーショック、12インチ長φ2.5インチスプリング120lb、Chris Alston リアアンチスウェイバー&ダイアゴナルトラックバー
■ブレーキ:アルミ製4ピストンフロントキャリパー、1ピストンリアキャリパー、11.5インチ22mm厚フロント・リアブレーキローター、カスタムマウントブラケット、後期型トヨタショートハウジング15/16thマスターシリンダー、カスタムマシンドブースターデリートブラケット、カスタムフルードリザーバー、Mk3-4スープラホイールディスクブレーキプロポーショニングバルブ、フロントラインロックブレーキ、スチールメッシュブレーキライン、マスターシリンダーアルミヒートシールド
■インテリア:KIRKEYアルミフレームシート&パッドカバー、カスタムセンターコンソール、ブラックカーペットパッド、豪州仕様右ハンドルダッシュ&メータークラスター&グローブボックス、Precision Performanceシフター、5点式シートベルト、MOMOレースステアリングホイール、カスタム4ボタンパネル、クロスヘッダー、KENWOODステレオ&4ウェイスピーカー、2ダッシュカメラ
■タイヤ:BFグッドリッチ (F)コンプTAタイヤ195/50-15 (R)ドラッグラジアル 325/50-15
■ホイール:Center Line Wheels 15×5.5(F) 15×12.0(R)

初出:ノスタルジック スピード 2018年2月号 vol.015
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 トヨタ セリカ(全3記事)

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【1】【2】から続く

photo : AKIO HIRANO/平野 陽 text : HIDEO KOBAYASHI/小林秀雄

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