【1979年式 日産 サニー 1400 GL Vol.1】
信頼性、維持費、性能への不安……。旧車にはこんな印象がつきまとう。
そして、当然ながら同じ状態のクルマも1台としてない。
こんなことが障壁となってノスタルジックな味わいに憧れながら、あと1歩が踏み出せない旧車ファンも少なくないだろう。
こうした人たちのガイドになればと思い、ごくふつうに旧車と付き合うオーナーを訪ねてみることにした。
旧車オーナーの愛車観、あるいは旧車のある生活を読者にお伝えしたくて立ち上げた新連載企画「旧車生活へのいざない」だが、最初から非常に個性豊かなオーナーに巡り合うことができた。
山梨県北杜市在住のオーナー(23歳)がその人で、1979年式サニー1400GL(310)のオーナーだ。こういっては失礼だが、旧車好きとはいえ23歳の若者が乗るには少し渋めというか、特徴がなさすぎる車種に思え、取材前からどんな方なのだろうかと興味を抱かされていたのだ。
現状A14型ノーマル。1979年式で昭和53年排ガス対策車など【写真12枚】「18歳で免許を取った時、親がR34スカイラインの4ドアを買ってくれたんです。いいクルマだとは思いましたけど自分の好みとは少し違う。これじゃないんだよな、っていう感じで」
しかし、息子の免許取得祝いにR34スカイラインを買い与えるとは、なかなかクルマ通、粋なお父さんだ。オーナーの旧車好きも、現在50代だというお父さんの影響が大きいようだ。
「結局、自分でAE86を買いました。周りに旧車好きの先輩がいて、旧車に関する知識や情報にはあまり困らなかったですね」
AE86といえば、条件反射で「イニシャルD」を連想してしまうが、オーナーが手に入れたのは白/黒レビンのGTV。しかし、走り屋だったわけではないようだ。
「AE86が好きでしたけど走り屋じゃないです。もちろん走るのは好きですけど、それよりも自分の個性を生かしたカスタマイズの方に興味があって、それを楽しんでいました。自分でいうのもなんですけど、カッコよかった!」と、うれしそうにAE86の思い出話をしながら、スマホに収められた86の画像を見せてくれた。構図が決まっていてうまい写真だった。
「高校の時、写真部だったんです。写真を撮るのが好きで、今も気が向くとクルマの写真を撮っています」
なるほど、こうした楽しみ方もあるのかと意表を突かれる思いがした。AE86に十分手をかけ「やり尽くし感」を満喫したところで、次のクルマに目が向くようになったという。
「本当は510ブルーバードが欲しかったんですけど高過ぎるんですよ。で、310サニーが候補となり、探していたらこのクルマに出合ったというわけです。見たら程度もよかったし、価格も出せる範囲だったので決めました」
サニーといえば名品といわれた110型じゃないの? と少し意地悪な質問をしてみたが、すでに先輩が持っていたから、という理由で候補に上がらなかったという。オーナーの場合、人と同じというのが許せないらしい。
センタークラスター/コンソールに自慢の一品、パイオニアのロンサムカーボーイが3点セットで。
エンジンはA14型で現状ノーマル。1979年式で昭和53年排ガス対策車。もう少しパワーが欲しく、キャブ交換の予定があるという。
【2】【3】に続く初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 04月 Vol.168 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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