オーナー、ボディの美学! 真冬の洗車にワックスがけ、旧車乗りの心意気を垣間見た|1979年式 日産 サニー 1400 GL  Vol.2

汚れていれば天気にかかわらず洗ってしまうというオーナー。洗車場もよく訪れるスポットのひとつだとか。

       
【1979年式 日産 サニー 1400 GL  Vol.2】

 旧車オーナーの愛車観、あるいは旧車のある生活を読者にお伝えしたくて立ち上げた新連載企画「旧車生活へのいざない」だが、最初から非常に個性豊かなオーナーに巡り合うことができた。

【1】から続く

 その310サニーは、ライトブラウンといってよいのか、ベージュといってよいのか、厚みを感じさせる塗装面が艶を放ち、一見して塗装状態のよさを伝えるコンディションだった。再塗装だというが、質感のある塗装に加え、オーナーの手入れのよさが目につく状態のよさだった。

 さっそくサニーの撮影をしたいと申し出たら、オーナーは「汚れているから洗車をしたい」という。とくに汚れているようにも見えず、撮影には十分耐えるだけのきれいさは保っていたのだが、それでも洗車というのは、オーナーはかなりのこだわり性かもしれない。

「少しでも汚れていると気になっちゃうんです。天気予報で明日が雨だと分かっていても、汚れたままでいるのはイヤなんで洗ってしまいます。夜中に洗うことも珍しくないです。今日の状態、十分汚れていますよ」とサニーのボディを撫でながらボディの美学を語ってくれた。

「童心にかえって」という表現があるが、サニーに向かうときのオーナーがまさにこれ。きれいになっていく愛車を見てるのが楽しくて仕方ないようなオーナーのようすなど【写真12枚】


 こうしてオーナーのサニーについていった先は有料洗車場。気がつくとオーナー、トランクからバケツとカーシャンプーを取り出し、スポンジを使ってさっさと洗い始めていた。しかし、その表情が印象的。洗車が楽しいとでもいうように、ニコニコしながら手を動かしているのである。

「こうやって洗っていると、ボディ各部の状態がよく分かるんですよ。あ、ここが錆びてきたなとか、ここに小さなヘコミがあるなとか、ボディの状態をチェックできるんです。苦にならないですよ。クルマがきれいになっていく様子を見るのは楽しいですから。ワックスはふつうの安いやつ、固形を使っています。洗車2回に対してワックスがけ1回ぐらいの割合かな」

 それにしても、真冬に洗車やワックスがけをなんとも思わないところは強い。それも、旧車だからていねいに扱わなければいけないという義務感でやっているのとは違い、きれいになっていくから楽しいというのだから、もはや無敵。誰にも止められない? 直接クルマに触れられることが楽しくてうれしくて仕方がない、というように見えてしまった。

 こんなにクルマが好きな人を、久しぶりに見た思いがして新鮮だった。やっぱりクルマっていいな、素直にそう思わされていた。




改めて3ボックスセダンが持つ形の落ち着きを示してくれる1カット。オーナーもこうしたあたりが気に入り、310サニーを選んだという。





実はオーナー自慢の一品、ホシノインパルのメッシュホイール。このサイズは珍しいそうでレア物だとか。



【3】に続く


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 04月 Vol.168 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1979年式 日産 サニー 1400 GL (全3記事)

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text & photo : AKIHIKO OUCHI/大内明彦

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