セダンより1万円高でオープンカーが買えた!|スバル360コンバーチブル Vol.1

       
1960年式 スバル360コンバーチブル(K111)

 360㏄軽自動車の代表的存在であり、その独特のかわいらしいスタイルから、今も人気が高いスバル360。

 12年のモデルイヤーの中でさまざまなバリエーションが登場している。通常の「セダン」に加えて、1959年6月に初めてバリエーションモデルが誕生。それがコンバーチブル仕様である。


巻き取った幌はトノカバーで覆って固定する。すぐ下にテールランプがあるため、垂れ下がりに注意。


 もともとのセダンでも別構造となっているルーフとリアウインドーを取り外して幌屋根にしたもので、「オープンカー」というよりは、「キャンバストップ」と呼んだほうが適していそうな外観だ。後に車検証に記載されるようになったボディタイプも「幌型」ではなく「箱型」となっている。

 スバル360コンバーチブルの現存車両は非常に少ない。そもそも、60年前後といえばスバル360の登場によって、ようやく一般家庭でも自家用車が持てるようになった時期である。そんな時代に、実用性が低く、価格もセダンに比べて1万円ほど高いオープンモデルを求める人が少なかったであろうことは想像に難くない。



エンブレム類も当時のパーツが良好な状態で残されている。


フロントフード内の空間はバッテリーとスペアタイヤ、ジャッキなどが占めており、他のものはほぼ入らない。



エンジンはレストアの際にもキャブレターの清掃とメンテナンスだけで、ノンオーバーホール。しかし2サイクルらしく軽快に回り、一般道を走る程度であれば、もたつきも全く感じない。


シートは色あせているが、張替えもなく60年近く経過したクルマとは思えないほどの良好なコンディションを保っている。


1960年式 スバル360コンバーチブル(K111)
●全長2995㎜
●全幅1300㎜
●全高1360㎜
●ホイールベース1800㎜
●トレッド前/後1140/1080㎜
●最低地上高180㎜
●車両重量385㎏
●乗車定員4名
●最高速度90㎞/h
●登坂能力sinθ0.30
●最小回転半径4.0m
●エンジン型式EK32型
●エンジン種類強制空冷直列2気筒2サイクル
●総排気量356㏄
●ボア×ストローク61.5×60.0㎜
●圧縮比6.5:1
●最高出力18ps/4700rpm
●最大トルク3.0㎏-m/4700rpm
●変速比1速3.106/2速1.590/3速1.00/後退3.624
●最終減速比3.421
●燃料タンク容量18L
●ステアリング形式ラック&ピニオン
●サスペンション前/後トレーリングアーム式/スイングアクスル式
●ブレーキ前/後ともリーディングトレーリング
●タイヤ前後とも4.50-10-2P
●発売当時価格41.0万円


ノスタルジックヒーロー vol.195 2019年10月号掲載(記事中の内容はすべて掲載時のものです)

text : NostalgicHero/編集部 photo : Hirotaka Minai/南井浩孝

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