故・梁瀬次郎さんの愛車【2】動態保存されたヤナセのシンボル的存在のメルセデス|1972年式 メルセデス・ベンツ 600リムジーネ Vol.2

ボディカラーはもちろん、メッキパーツ、ホイールキャップに至まで完璧に新車状態といえるコンディションに整えられている

       
日本における「輸入車業界の父」と呼ばれた故梁瀬次郎さんが、1972年に新車として導入し、愛用していたメルセデス600。
この個体は国内で最も有名なメルセデス600として知られている。もちろん、この貴重な個体はヤナセのスタッフが代々受け継ぎ、メンテナスや補修を行ってきた。現在はヤナセのクラシックカー部門「ヤナセクラシックカーセンター」で、動態保存されベストな状態をしっかり維持している。
各種イベントなどで展示され、ヤナセのシンボルとして今も輝き続けている。

【1】から続く

【欧州名車列伝|1972年式 メルセデス・ベンツ 600リムジーネ Vol.2】

【画像20枚】梁瀬次郎さんの愛したメルセデス・ベンツ。ラジエーターに装着されているファンは、高温多湿な日本での使用を考慮して当時ヤナセが設定したもの。前後のサスペンションには大型のエアバッグを備える

世界一難解なクルマの1つとも称されるメルセデス600を、常に完璧を求める顧客たちから委ねられる理由は、ブランド力だけではない。

そのブランドを築き上げてきた匠の技が、今なお継承されていること。それこそがヤナセクラシックカーセンターの真骨頂なのだ。
現在のヤナセクラシックカーセンターは2018年4月に開設され、かつて同じ場所でウエスタン・コーポレーション(ウエスタン自動車の後身)が展開していた「オールドタイマーセンター」を合わせれば、四半世紀の歴史を誇る。

さらにいえば、1952年から輸入を開始したメルセデスのみならず、フォルクスワーゲンやアウディ、あるいは北米GM各ブランドの日本総代理店としても長らく君臨してきたヤナセの歴史は、これからクラシックカーの世界にチャレンジしてみようと考えているファンにとっても、必ずや力となってくれるに違いない。

ヤナセクラシックカーセンターでは、顧客の愛車を預かってのメンテナンス/修理から、本格的なレストアまでさまざまな作業を受託し、開設から2年にして早くも述べ150台近い台数のクルマたちを手掛けてきた。さらに今年からは、ヤナセではドイツ式に「ヤングタイマー」と呼んでいる、ハチマル世代(誕生から30年以内の個体)のクルマたちの販売にも乗り出すという。

ここで販売されるクラシック・メルセデスは、正規輸入され、ヤナセ販売網で顧客に販売した車両に限られるとのこと。新車として販売したのちにオーナーが変遷したとしても、ヤナセのネットワーク内でメンテナンスや修理が行われてきた履歴が残っている個体から、コンディションが良好なものだけが、ベース車として選ばれるという。
【3】に続く


搭載されるM100型エンジンは90度V型8気筒SOHCで、メルセデス・ベンツでは初の新開発V8エンジン。燃料供給装置は、ボッシュの機械式インジェクションを採用する。


エアサスを採用していることやブレーキのバキュームを制御するために、エアポンプが装備されている。




フロントサスペンションは、ダブルウイッシュボーン式エアサス仕様で、車高調整をするレベライザー
も装備されている。


アンチロールシステムや乗り心地を安定させるシステムを装備し、安全性やコンフォート性に配慮し
ている。


エアバッグやレベライザー、スタビライザーなどを装備するリアサスペンション。高級リムジンならで
はのコンフォート性を追求した設定となっている。



null
このモデルの特徴として、前後のサスペンションに大型のエアバッグを備える。フロントのサスペンシ
ョン形式は、ダブルウイッシュボーンとなっている。


リアサスペンションはスイングアクスル式で、セルフレベライザー付となっている。手前のパイプはエキゾースト。

【すべての画像を見る】

【3】へ続く
初出:ノスタルジックヒーロー 2020年 10月号 vol.201
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 メルセデス・ベンツ 600リムジーネ(全3記事)

関連記事:欧州名車列伝
関連記事:メルセデス・ベンツ

text:Hiromi Takeda/武田公実 photo:Isao Yatsui/谷井 功

RECOMMENDED

RELATED

RANKING