故・梁瀬次郎さんの愛車【3】油圧のパワーウインドウに油圧のシート調整をもつリムジーネ|1972年式 メルセデス・ベンツ 600リムジーネ

メーターはVDO製の高級品で、左側のタコメーター内に、ミッションのセレクトインジケーターが設定されている。走行距離は7万2000Kmあまりとなっている

       
日本のおける「輸入車業界の父」と呼ばれた故・梁瀬次郎さんが、1972年に新車として導入し、愛用していたメルセデス600。この個体は国内で最も有名なメルセデス600として知られている。もちろん、この貴重な個体はヤナセのスタッフが代々受け継ぎ、メンテナスや補修を行ってきた。現在はヤナセのクラシックカー部門「ヤナセクラシックカーセンター」で、動態保存されベストな状態をしっかり維持している。各種イベントなどで展示され、ヤナセのシンボルとして今も輝き続けている。

【2】から続く

【欧州名車列伝|1972年式 メルセデス・ベンツ 600リムジーネ Vol.3】

この1972年式メルセデス600のレストアはもちろんのこと、その他のオールド・メルセデスも卓越したノウハウを有しており、完璧に仕上げてくれる。
そして注目したいのが、ヤナセクラシックカーセンターが独自設定したメニューに基づき、主に機関部を中心に高度なリフレッシュが図られたヤングタイマー・メルセデスに関する対応だ。

【画像20枚】全長5450mmと長大さを誇る。まさに世界中のVIPたちが愛用したモデルだけに、風格も安全性も当時の最高峰だった

なお、これらのサービス業務に携わるスタッフの中核は、クラシックモデルたちが現役だった時代をリアルタイムで知る、熟練のマイスター的メカニックたち。
一方、若手のメカニックたちも先輩の教えを受け継ぎつつ、着実にスキルアップを図っているという。
実は、ヤナセクラシックカーセンターの設立における大きな動機の一つに「技術の継承」が掲げられていた。最上の顧客サービスを今後も維持して行くためには、技術の継承が不可欠。その学びの場として、クラシックモデルに向き合うことを選んだのだ。

「最善か無か」という古くからのメルセデス・ベンツのモットーが、額面どおり守られていた時代。
そして、時には過剰なまでのクオリティー至上主義が金科玉条だった時代の車両は、結果としてメンテナンスや修理にも高度な技術を要求するに至った。
だからこそ、ヤナセクラシックカー センターに修理やレストアを依頼する。あるいは同社が仕上げた極上車を選ぶということは、クラシック・メルセデスの素晴らしさを損なうことなく享受できる、最高の選択肢の一つと思われるのである。


1570mmと長いダッシュボード。ダッシュ下の中央にエアコンの吹き出し口が設定されている。コン
ソール部分にはカセットステレオを装備する。



右からドイツの高級オーディオ、ベッカー製ラジオ、時計、温度計、エアコンセレクトとなっている。




ストックヤードにはクラシック・メルセデスが多数保管されている。これらはヤナセが新車時代に扱
ったモデルで、全国の顧客からレストアの依頼をされたものだ。


フロントシートは大き目で、日本人の標準体型では、タイト感というより豪華なソファとい
った感じ。油圧制御でシート調整が可能。


標準的な5名乗車仕様で、リアシートは3名乗車となる。バックレストは油圧制御で可動する。


運転席側のフロントドアには、灰皿、シガーソケット、油圧のパワーウインドーのスイッチ
が配置されている。


トランクルームは、深く広い設定となっている。右側にスペアタイヤを収納しているが、それでも十分な収納スペースが確保されているのだ。ロングドライブでも快適な設定といえる。

【すべての画像を見る】

【1】【2】から続く
初出:ノスタルジックヒーロー 2020年 10月号 vol.201
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 メルセデス・ベンツ 600リムジーネ(全3記事)

関連記事:欧州名車列伝
関連記事:メルセデス・ベンツ

text:Hiromi Takeda/武田公実 photo:Isao Yatsui/谷井 功

RECOMMENDED

RELATED

RANKING