沖田への思いと駆けるディノ【前編】実業家谷田部が与えしマシン|サーキットの狼世代へ スーパーカーの饗宴|ディノ246GT

フロントエンブレムはフェラーリではなくディノ

       
スーパーカーの一つの特徴として、ミッドシップの2シータースポーツであることが条件とされる場合がある。
そのミッドシップ2シーターの市販モデルとして、フェラーリが最初に生み出したのが1965年登場のディノ206だ。
2リッターのV型6気筒DOHCエンジンを搭載した206に続き、2.4リットルにエンジンを拡大して1969年に発売されたのがディノ246GTである。

【サーキットの狼世代へ スーパーカーの饗宴|ディノ246GT【前編】】

【画像16枚】リアのトランクリッドに取り付けられたフェラーリのエンブレム。跳ね馬のディテールがよく再現されている

「サーキットの狼」のストーリーには当初から登場していた警察官で、暴走族の取り締まりを担当していた沖田が、のちにステアリングを握ることになったディノ246GT。
F1ドライバーを養成したいという実業家谷田部が沖田に提供したクルマだ。沖田はこれをきっかけに警察官を辞め、レースに打ち込むことになった。

しかし、沖田とディノのペアは長く続かなかった。公道レースに参加した沖田は2位でゴールするも、持病の結核を患い、車内で息を引き取るという急展開。警察官を辞めて、これからという時に……。多くの読者からの嘆きが聞こえてきそうだった。

その後、クルマは引き継がれ、風吹が乗ることに。このあたりからストーリーは公道レースからサーキットレースに移行していく。現実の世界でも人気だった、71年スタートの富士グランチャンピオンレースを風吹が観戦しに行くなど、現実と漫画のリンクもあり、クルマ好きの心をつかんでいった。

【後編】に続く


>>ディノ246は前期、中期、後期に分けられるが、撮影車両はドアのキーホール位置、フロントコーナーバンパーの長さから、中期と推測される。


>>エンジンルームへ空気を送り込むためのエアーインテーク。ドア部にもその造形が連続してつながっている。窓枠の下側後方に付いているメタルのプレートはドア開閉レバー。さりげないデザインが美しい。


>>純正ホイールはCromodora製。センターキャンプにDinoのロゴキャップが装着されている。


>>リアランップ横にはディノGTのエンブレムがある。立体的で美しい造形。
全ての画像を見る

ディノ246GT
全長×車幅×全高:4240×1652×1135mm
ホイールベース:2340mm
トレッド 前/後:1425mm/1430mm
車両重量:1080kg
エンジン:65度V型6気筒DOHC 横置きミッドシップ
総排気量:2418㏄
最高出力:195ps/7600rpm
最大トルク:23.0kgm/5500rpm
生産年:1971~1974年
生産台数:3761台(内GTB2487台)
生産国:イタリア
※スペックは池沢早人師ミュージアムに準じる。

初出:ノスタルジックヒーロー 2019年 12月号 Vol.196
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
サーキットの狼世代へ ディノ246GT(全2記事)

関連記事: サーキットの狼
関連記事: サーキットの狼世代へ スーパーカーの饗宴

text:Keishi Watanabe/渡辺圭史 photo:Ryota Sato/佐藤亮太(サッカス) cooperation:池沢早人師サーキットの狼ミュージアム

RECOMMENDED

RELATED

RANKING