ひょんなきっかけからカレラRSを手に入れたオーナー。サーキットでのスポーツ走行も|ハチマルユーロー【3】1995年式 ポルシェ 911 カレラRS

RSストリート版のリアスポイラーは930ターボのようなトレー型が標準だが、日本仕様はRSクラブスポーツ用の大型ウイングを標準装備

【2】から続く

911系のリニューアル、993シリーズはエンジンは踏襲されたが、トランスミッションは5速から6速へグレードアップ。1995年にデビューした、カレラ2RSの後継者「911カレラRS」は専用エンジンと6速を組み合わせスペックが上がったが、軽量化はやや控えめに終わった。

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14年間、まったく飽きさせない偉大なカレラRSでの最終形

 今回、取材させていただいた993カレラRSは、96年モデルとして95年下半期に生産された、ストリートバージョンの正規輸入車。ブルーやイエローなど、原色のビビッドなソリッドカラーの印象が強いこのモデルだが、このクルマは「ポーラーシルバー」という、渋めのメタリックペイントが施されている。

 オーナーは、横浜ゴムに勤務してタイヤ販売の最前線に立つ一方、このハードコアなポルシェに加えて、ハコスカGT-RやフェアレディZ432なども愛する、生粋のエンスージアスト。そんなオーナーいわく、993RSは非常にソフィスティケートされたRSとのことである。964時代のRSが、993RSのストリート版に相当する「ツーリング」であっても、かなりハードな乗り味の持ち主であるのに対して、993RSは乗り心地もかなり快適。その一方で、標準型993カレラよりも100kg軽い1320kgの車両重量と300psのパワーがもたらす走りは「レン・シュポルト」の称号にふさわしいものという。

 ひょんなきっかけから、今から14年ほど前にこの993カレラRSを入手したというオーナーは、今なお週末には箱根のワインディングを楽しむほか、サーキットでもアイドラーズのスポーツ走行に参加するなど、このクルマの本質を存分に堪能。飽きることなどまったくなく、これからもずっと一緒に過ごしたいそうだ。

 やはり「空冷RSの最終進化形」には、それだけの価値があるのだろう。
【画像16枚】リアシートは潔く取り払い、カーペットのみ。トランクルームは大型燃料タンクに多くのスペースを奪われ、あまり多く荷物を詰められない容量に



>>革張りのバケットシート。座面はボディ色に合わせたもので、微妙なグラデーションも入る。またシェルもボディ色と同色、ないしはコーディネートされたものが選ばれるが、シルバーの場合はこのブルーになるという。



>>1990年代以降のポルシェを代表する技術、「バリオラム」機構付きエンジンは、993RSで初めて採用された。3.8Lの排気量もあって、パワーは300psの大台に。

OWNER

KPGC10スカイラインGT-RやS30フェアレディZ432などの国産名車と、ポルシェ911を愛する生粋のエンスージアスト。かなり本格派の走り屋で、空冷ポルシェ911仲間の間では「バトラー」の愛称でも知られているという。



主要諸元 SPECIFICATIONS
1995年式 ポルシェ 911 カレラRS


全長×全幅×全高(mm) 4245×1730×1270
ホイールベース(mm) 2270
トレッド(mm) 1410/1455(前/後)
車両重量(kg) 1320
エンジン種類 空冷水平対向6気筒SOHC12バルブ
総排気量(cc) 3745
内径×行程(mm) 102.0×76.4
圧縮比 11.3:1
最高出力(ps/rpm) 300/6500
最大トルク(kg-m/rpm) 35.5/5400
サスペンション前/後 マクファーソンストラット・タイプ・アクスル+コイル/マルチリンク・サスペンション LSAシステム式
ブレーキ 前後ともベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ 前225/40ZR18 後265/35ZR18
【1】【2】から続く

1995年式 ポルシェ 911 カレラRS(全3記事)
初出:ハチマルヒーロー 2017年9月号 Vol.43

ハチマルユーロー Volume.22
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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TEXT:HIROMI TAKEDA/武田公実 PHOTO:DAIJIRO KORI/郡大次郎

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