早瀬佐近【4】劇中車を再現した車両は、リアルでもレースに使用されていた車両|1972年式 ポルシェ カレラ RS2.7|サーキットの狼世代へ

美しいシルエットにボリューミーなラインが特徴的なポルシェカレラ。サイドの「Carrera」の文字にかかるマーカーとホイールのカラーを統一。他にもレッドのタイプなどもあった

       
誰しもが通ったであろう「サーキットの狼」という漫画。この作品が登場するまで実在するクルマを描き切った作品がなかったことに加え、漫画に登場するスーパーカー群を乗り継いできた作者によるリアルなエピソード。そして、1人の暴走族がF1レーサーへと成長する過程を丁寧に描いたストーリーに酔いしれた。そんなサーキットの狼世代に向け、往年の名車とともにじっくりと堪能できるシリーズをおおくりする。


風吹裕矢ロータスの宿命のライバル
激闘を繰り返す早瀬佐近のカレラ

【1972年式 ポルシェ カレラ RS2.7 Vol.4】

【3】から続く


 しかし、そのドライビングテクニックは主人公の風吹とは対象的で、常に冷静な判断を下すスマートなドライビング。ナチス軍という凶暴なイメージからかけ離れた、冷静沈着、かつ、やさしさが見え隠れし、読者の心をつかんだキャラクターでもあった。

 早瀬は早くからプロレーシングドライバーに師事。ドライビングテクニックを磨き、プロレーサーとなったのだが、モナコグランプリでクラッシュしてしまい、この世を去った。

 ナナサンカレラは一時、評価価格が1億円を超えるほどの人気を博していた。希少性ゆえに大切に乗るオーナーが多いなか、この撮影車両は実際にクラシックカーレースに参戦した実戦派。ロールケージが組み込まれ、レーシングカーらしい仕様になっている。

 劇中にあった、ドア側面のハーケンクロイツマークはないが、実際に激しいバトルを繰り返した個体なのだ。


>>【画像22枚】丸いヘッドライトはポルシェ911の象徴的デザインの1つ。基本的なデザインは変わることなく、現在まで継承されていることから、当時の完成度の高さを感じる




>> 911のエンジンは空冷水平対向6気筒が基本スタイル。2.7Lへのボアアップではストロークを変えず、特殊合金を使ってボア径を広げている。





>> エキゾーストマニホールドは最後に大きなタイコへ集まり、排気は左側から1本出し。ボリュームあるマフラーがスポーティーな印象を強める。




1972年式 ポルシェ カレラ RS2.7


SPECIFICATION 諸元
全長×車幅×全高●4147×1652×1320mm
ホイールベース●2271mm
トレッド 前/後●1372mm/1394mm
車両重量●1075kg
エンジン●空冷水平対向6気筒 SOHCリアエンジン
総排気量●2687cc
最高出力●210ps/6300rpm
最大トルク●26.0kg-m/5100rpm
生産年●1972~1973年
生産台数●1580台(RSR含む)
生産国●ドイツ
※スペックは池沢早人師ミュージアムに準じる。




初出:ノスタルジックヒーロー 2017年12月号 Vol.184
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 ポルシェ カレラ RS2.7(全4記事)

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【1】【2】から続く

©︎池沢早人師/animedia.com text:KEISHI WATANABE/渡辺圭史 photo:ISAO YATSUI/谷井 功

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