早瀬佐近【2】911 カレラのグループ4ホモロゲーションモデル、ナナサンカレラ|1972年式 ポルシェ カレラ RS2.7|サーキットの狼世代へ

風吹裕矢ロータスの宿命のライバル 激闘を繰り返す早瀬佐近のカレラ

       
誰しもが通ったであろう「サーキットの狼」という漫画。この作品が登場するまで実在するクルマを描き切った作品がなかったことに加え、漫画に登場するスーパーカー群を乗り継いできた作者によるリアルなエピソード。そして、1人の暴走族がF1レーサーへと成長する過程を丁寧に描いたストーリーに酔いしれた。そんなサーキットの狼世代に向け、往年の名車とともにじっくりと堪能できるシリーズをおおくりする。


風吹裕矢ロータスの宿命のライバル
激闘を繰り返す早瀬佐近のカレラ

【 1972年式 ポルシェ カレラ RS2.7 Vol.2】

【1】から続く

 クラシカルなデザインのポルシェ356から、大きくデザイン変更された911。1963年にフランクフルトモーターショーで発表され、1964年に本格的な製造を開始。スポーツカーとしてのキャラクターが強く、今でも継続されているロングセラーモデルだ。

 空冷水平対向6気筒1991ccエンジンに、ソレックスのツインキャブレターを装備し、130 ps/6100rpm、17.8kg‐m/4200rpmを発揮。シリンダーケースのアルミニウム合金、SOHCなど、当時としてはハイスペックな仕様だった911のエンジン。将来的なボアアップ設計に対応できる、エンジンスペースのクリアランスも確保されていたという。
 その後、毎年のように仕様変更が繰り返され、1973年には、グループ4のホモロゲーション対応モデル「ポルシェ911カレラ2.7RS」が登場。まさにスーパーカーと呼ぶにふさわしいモデル。このカレラこそが、のちに「ナナサンカレラ」とよばれたモデルだ。

 徹底的な軽量化でボディ重量は約960kg。最高出力210ps、最大トルク26kg‐mというハイパワーエンジンを搭載し、パワフルな走りを実現。
 パワーを確実に地面に伝えるため、タイヤサイズはフロント185/70VR15、リア215/60VR15を採用。サイズアップしたタイヤを覆うように、リアフェンダーのサイズも広げられた。


>>【画像22枚】スポーツカーらしく最高速が300km/hまで刻まれたスピードメーターを装着。一番左のメーターにあるDRUCKは油圧計を表している




>> 丸いヘッドライトはポルシェ911の象徴的デザインの1つ。基本的なデザインは変わることなく、現在まで継承されていることから、当時の完成度の高さを感じる。





>> 大きなダックテール。ダウンフォース効果もあるが、空冷エンジンへ空気を取り込むための整流板としても活用されている。





>> 911デビュー当時のナローボディと比べると印象が変わった1973年式モデル。シリーズ途中の1968年にホイールベースが6cm延長され、ドライビング性能が向上した。



1972年式 ポルシェ カレラ RS2.7

SPECIFICATION 諸元
全長×車幅×全高●4147×1652×1320mm
ホイールベース●2271mm
トレッド 前/後●1372mm/1394mm
車両重量●1075kg
エンジン●空冷水平対向6気筒 SOHCリアエンジン
総排気量●2687cc
最高出力●210ps/6300rpm
最大トルク●26.0kg-m/5100rpm
生産年●1972~1973年
生産台数●1580台(RSR含む)
生産国●ドイツ
※スペックは池沢早人師ミュージアムに準じる。



【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年12月号 Vol.184
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 ポルシェ カレラ RS2.7(全4記事)

関連記事:サーキットの狼世代へ

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【1】から続く

©︎池沢早人師/animedia.com text:KEISHI WATANABE/渡辺圭史 photo:ISAO YATSUI/谷井 功

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