早瀬佐近【3】日本正規輸入20台以下のナナサンカレラを惜しげもなく操ったサブキャラ|1972年式 ポルシェ カレラ RS2.7|サーキットの狼世代へ

リアフェンダーはサイドウインドー側面から外側に膨らんでいる。初期のナローボディにはない形状だ

       
誰しもが通ったであろう「サーキットの狼」という漫画。この作品が登場するまで実在するクルマを描き切った作品がなかったことに加え、漫画に登場するスーパーカー群を乗り継いできた作者によるリアルなエピソード。そして、1人の暴走族がF1レーサーへと成長する過程を丁寧に描いたストーリーに酔いしれた。そんなサーキットの狼世代に向け、往年の名車とともにじっくりと堪能できるシリーズをおおくりする。


風吹裕矢ロータスの宿命のライバル
激闘を繰り返す早瀬佐近のカレラ

【 1972年式 ポルシェ カレラ RS2.7 Vol.3】

【2】から続く

 総台数は約1000台で、あっという間に完売。さらに国内に正規ルートで入ってきた数は20台以下という、希少性の高さも特徴的なクルマだ。

 そんなナナサンカレラを惜しげもなく使いこなしたのが早瀬佐近。ポルシェ専門の暴走族「ナチス軍」総統で、風吹裕矢の最大のライバル。

 ボンネット上部に風吹と同じように街道レースでの勝利の数を示す星印が刻まれていた。2人の最初の戦いでは、この星を刻む行為を賭けて、首都高速でバトル。結果は早瀬のポルシェが勝利したが、途中で風吹のロータスヨーロッパが邪魔するクルマを避けるため、フロントスタビライザーを壊していたことが発覚。勝負はドローとされた。

 パワーで対抗する風吹裕矢のライバルマシンに比べ、早瀬佐近はテクニックで勝負に挑んでいるのが特徴的。もちろんパワーあってのドライビングテクニックではあるが、4輪ドリフトなど、コーナリングの勝負にたけたドライビングアビリティーは、ロータス・ヨーロッパと特性が似ていたとも言える。


>>【画像22枚】ポルシェに純正採用されたフィックス社アロイホイール。特徴的なファイブリーフデザイン




>> レース車両として軽量化が図られ、総重量約960kgという軽さを実現した。Rモデルは乗用車モデルに比べ、室内が簡素化され、窓にアクリルウインドーなどが採用されている。





>> スポーツカーらしく最高速が300km/hまで刻まれたスピードメーターを装着。一番左のメーターにあるDRUCKは油圧計を表している。





>> リアのエアインテークを隠すかのようにデザインされたダックテール。その下に「Carrera RS」の文字がある。




1972年式 ポルシェ カレラ RS2.7

SPECIFICATION 諸元
全長×車幅×全高●4147×1652×1320mm
ホイールベース●2271mm
トレッド 前/後●1372mm/1394mm
車両重量●1075kg
エンジン●空冷水平対向6気筒 SOHCリアエンジン
総排気量●2687cc
最高出力●210ps/6300rpm
最大トルク●26.0kg-m/5100rpm
生産年●1972~1973年
生産台数●1580台(RSR含む)
生産国●ドイツ
※スペックは池沢早人師ミュージアムに準じる。

【4】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年12月号 Vol.184
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 ポルシェ カレラ RS2.7(全4記事)

関連記事:サーキットの狼世代へ

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【1】【2】【3】から続く

©︎池沢早人師/animedia.com text:KEISHI WATANABE/渡辺圭史 photo:ISAO YATSUI/谷井 功

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