92年1月、日本の高級ホテルで行われた「世界同時発売」|1992年式 フェラーリ 512TR【4】

テスタロッサから最も大きく変わった、一体プレス型のエンジンフード

ハチマル世代のシンボルともいうべき世界最高峰スーパースター、フェラーリ・テスタロッサを大幅にブラッシュアップした512TR。そのダイナミックにして美しいピニンファリーナ製ボディの下には、1990年代最新のテクノロジーとスピリットが込められていた。

【ハチマルユーロー 1992年式 フェラーリ 512TR vol.4】

冒頭で述べた512TRの「世界同時発売」。日本では、千葉県浦安市のある高級ホテルが会場となって、92年1月に執り行われた。実はこの時期、フェラーリの日本総代理店であったコーンズ&カンパニー・リミテッドに勤務していた筆者にとっては、この発表イベントが広報担当者としての初仕事であった。だから筆者には、フェラーリ512TRというスーパーカーに、ひとかたならぬ愛着があることを先に言明しておかねばなるまい。

そして今回の取材に提供していただいた512TRは、本誌でも魅力あふれる写真の数々を撮影してきた藤井元輔カメラマンの愛車。そのコンディションの素晴らしさについては、これまでにもうわさに聞いていたのだが、残念ながら今回の取材に筆者は立ち会えなかった。そこで、後日別の512TRに個人的な試乗を敢行した。
【画像21枚】一見したところテスタロッサに類似しているが、シャシーから大規模な変更を受けている。テスタロッサ時代のリアはサブフレーム別体だったが、512TRではメインフレームと一体化された




>>黒い盤面に赤い照明が光るヴェリア社製メーターも、この時代のフェラーリの象徴。

SPECIFICATIONS/主要諸元
1992年式 フェラーリ 512TR


●年式 1992年式
●全長×全幅×全高(mm) 4480×1975×1135
●ホイールベース(mm) 2550
●トレッド(mm) 1530/1645(前/後)
●車両重量(kg) 1595
●エンジン型式 F113D型
●エンジン種類 水冷V型12気筒DOHC 4バルブ
●総排気量(cc) 4943
●内径×行程(mm) 82.0×78.0
●最高出力(ps/rpm) 428/6750
●最大トルク(kg-m/rpm) 50.1/5500
●サスペンション 前後ともダブルウィッシュボーン+コイル/
スタビライザー
●ブレーキ 前後ともベンチレーテッドディスク
●タイヤサイズ 前235/45ZR18/後295/35ZR18


【5】へ続く


初出:ハチマルヒーロー 2016年11月号 Vol.38
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1992年式 フェラーリ 512TR(全5記事)

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text: Hiromi Takeda/武田 公実 photo: MOTOSUKE FUJII/藤井元輔(サルーテ)

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