テスタロッサより低いエンジン搭載位置。中身は大規模変更だった512TR|1992年式 フェラーリ 512TR【1】

「ハチマル時代」の象徴、リトラクタブルヘッドライトは、365BB時代から継承された4灯型。

       
ハチマル世代のシンボルともいうべき世界最高峰スーパースター、フェラーリ・テスタロッサを大幅にブラッシュアップした512TR。そのダイナミックにして美しいピニンファリーナ製ボディの下には、1990年代最新のテクノロジーとスピリットが込められていた。

【ハチマルユーロー 1992年式 フェラーリ 512TR vol.1】

1992年1月。日本を含む主要マーケット各国で同時リリースとなった512TRは、80年代の傑作スーパースポーツ「テスタロッサ」を90年代の最新テクノロジーでリファインし、ランボルギーニ・ディアブロなど後発のライバルに負けないスーパースポーツの雄へと、再び押し上げるために用意されたモデルである。

一見したところ、テスタロッサのボディ内外装にフェイスリフトを加え、パワーを上乗せしただけのマイナーチェンジ版にも映るが、その実はシャシーから大規模な変更を受けていた。

それまでエンジンを支えていたサブフレームは、剛性アップと軽量化のためにメインのチューブラーフレームと一体化。エンジンの搭載位置も、わずか数㎝ながら低められた。

また、前後ホイールは18インチに拡大されると同時に、テスタロッサではやや不安のあったストッピングパワーについても、大径化されたベンチレーテッド・ディスクブレーキによっておおむね満足すべきものとなったのだ。

【画像21枚】テールエンドのフィンは、「ミニ・テスタロッサ」と呼ばれた348系でも採用されることに


>>ハチマル世代を代表する世界的スーパスター


>>「ハチマル時代」の象徴、リトラクタブルヘッドライトは、365BB時代から継承された4灯型。

SPECIFICATIONS/主要諸元
1992年式 フェラーリ 512TR


●年式 1992年式
●全長×全幅×全高(mm) 4480×1975×1135
●ホイールベース(mm) 2550
●トレッド(mm) 1530/1645(前/後)
●車両重量(kg) 1595
●エンジン型式 F113D型
●エンジン種類 水冷V型12気筒DOHC 4バルブ
●総排気量(cc) 4943
●内径×行程(mm) 82.0×78.0
●最高出力(ps/rpm) 428/6750
●最大トルク(kg-m/rpm) 50.1/5500
●サスペンション 前後ともダブルウィッシュボーン+コイル/
スタビライザー
●ブレーキ 前後ともベンチレーテッドディスク
●タイヤサイズ 前235/45ZR18/後295/35ZR18


【2】へ続く


初出:ハチマルヒーロー 2016年11月号 Vol.38
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1992年式 フェラーリ 512TR(全3記事)

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text: Hiromi Takeda/武田 公実 photo: MOTOSUKE FUJII/藤井元輔(サルーテ)

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