300km/hの大台に達する最高速! 2280台が生産されたヒットモデル|1992年式 フェラーリ 512TR【3】

コックピットはテスタロッサ以上にゴージャス。

ハチマル世代のシンボルともいうべき世界最高峰スーパースター、フェラーリ・テスタロッサを大幅にブラッシュアップした512TR。そのダイナミックにして美しいピニンファリーナ製ボディの下には、1990年代最新のテクノロジーとスピリットが込められていた。

【ハチマルユーロー 1992年式 フェラーリ 512TR vol.3】

燃料供給もボッシュのKEジェトロニックからモトロニックML2.7に変更。さらに吸/排気系に大規模なモディファイを受けることになった結果、パワーは400psの大台をはるかに超えた428ps。当時5ps刻みでのパワー表示が慣例とされていた日本仕様では、中身は同じながら「425ps」へとアップを果たした。そしてかつての365/512BB以来、久しぶりに300km/hの大台に達する最高速を公表することになったのである。

 テスタロッサの成功で「スーパーカー界の盟主」の地位へと一気に駆け上ったフェラーリゆえに、512TRの成功は誕生の瞬間から約束されていたと見るべきであろう。後継車に当たる「F512M」がデビューする94年までのわずか3年足らずで、12気筒フェラーリとしてはかなり多い2280台が生産されたのは、その内容の充実ぶりが世界のフェラリスタに認められた成果とも言えるのだ。

【画像21枚】大きな灰皿やカセットテープケースが時代を感じさせるセンターコンソール


>>長らくフェラーリの象徴だった、シフトゲート付きのギアレバー。

SPECIFICATIONS/主要諸元
1992年式 フェラーリ 512TR


●年式 1992年式
●全長×全幅×全高(mm) 4480×1975×1135
●ホイールベース(mm) 2550
●トレッド(mm) 1530/1645(前/後)
●車両重量(kg) 1595
●エンジン型式 F113D型
●エンジン種類 水冷V型12気筒DOHC 4バルブ
●総排気量(cc) 4943
●内径×行程(mm) 82.0×78.0
●最高出力(ps/rpm) 428/6750
●最大トルク(kg-m/rpm) 50.1/5500
●サスペンション 前後ともダブルウィッシュボーン+コイル/
スタビライザー
●ブレーキ 前後ともベンチレーテッドディスク
●タイヤサイズ 前235/45ZR18/後295/35ZR18


【4】へ続く


初出:ハチマルヒーロー 2016年11月号 Vol.38
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1992年式 フェラーリ 512TR(全5記事)

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text: Hiromi Takeda/武田 公実 photo: MOTOSUKE FUJII/藤井元輔(サルーテ)

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