力強い推進力を生むターボと、確実に力を路面に伝えるフルタイム4WD、相性はバツグンで一気に広まる1980年代|時代を席巻したフルタイム4WD+ターボ【1】

TOYOTA CELICA GT-FOUR ST205

       
【時代を席巻したフルタイム4WD+ターボたち vol.1】

 排ガス対策とオイルショックがひと段落した1980年代、日本の自動車メーカーは新技術の導入に積極的な姿勢を見せた。航空機とモータースポーツの分野に投入されたターボチャージャーとスーパーチャージャーが量産エンジンに用いられるようになったのも、80年代のニュースのひとつだ。

 ターボに代表される過給機は、排気量を大きくすることなく出力とトルクを大幅に高めることができる。最初は「省エネターボ」をうたって高級セダンに搭載したが、その後はコンパクトカーや軽自動車、本命のスポーティーカーにまで裾野を広げている。そして数年間でターボ車は増殖し、パワー競争も激化していく。安定した性能を発揮するために燃料供給は電子制御燃料噴射装置となり、ターボの熱害によるパワーダウンを抑えるためにインタークーラーも追加。また、ベースとなるエンジンも、SOHC2バルブからDOHC4バルブへと大きく進化している。

 次のステップは駆動方式だ。過給機付きのエンジンはパワフルだし、トルクも強大である。ハイパワーを支配下に置き、十分なトラクション性能を確保するために選んだのが4WD(AWD)だった。過給機の普及がパートタイムからフルタイムに発展する時期と重なったこともあり、4WDターボが一気に増えていく。
【画像13枚】国産のフルタイム4WD+ターボたち。トヨタのセリカ、日産のスカイラインなど



TOYOTA GT-FOUR ST185
89年に5代目へ進化したセリカでも、先代同様GT-FOURがラインナップされた。メカニズムは従来同様3S-GT型とフルタイム4WDの組み合わせだが、リアデフに日本初のトルセンLSDが装着されたことが最大の特徴。また、GT-FOURラリーやGT-FOUR A、GT-FOUR RCといったスペシャルバージョンも続々とリリースされた。



TOYOTA CELICA GT-FOUR ST205
全車3ナンバーサイズになった6代目T200系セリカ。GT-FOURはフルモデルチェンジから約4ヶ月遅れでデビューし、T160系から搭載されてきた2Lターボの3S-GT型は255psまでアップ。駆動システムはセンターデフとビスカス式LSDを組み合わせたフルタイム4WDが採用された。なお、この6代目を最後にGT-FOURは消滅した。

【2】へ続く

時代を席巻したフルタイム4WD+ターボたち(全3記事)
初出:ハチマルヒーロー 2017年5月号 Vol.41

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

関連記事:最強の系譜 4WD+ターボ

TEXT:HIDEAKI KATAOKA/片岡英明

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