アグレッシブなドライビングで人気を博した「カーナンバー12」|カルソニック スカイライン【3】

ステアリングは、MOMO製をベースにしたインパル913スペシャル。助手席側ダッシュボードを見ると、軽量化のため内部に無数の穴が開けられていることが分かる。

【カルソニック スカイライン vol.3】

こうして4年間で2度の輝かしいタイトルを手にしたカルソニック・スカイラインは、その速さもさることながら、人気もライバルたちを圧倒していた。その要因となったのは、なんといっても星野のアグレッシブなドライビング。縁石を使って片輪を浮かせた走りは見る者を魅了し、今でも語り草となっているのだ。

ここに登場するカルソニック・スカイラインは、90年に「カーナンバー12」としてシリーズチャンピオンを獲得した個体だ。ニスモフェスティバルなどの各イベントで走行する機会も多いため、メンテナンスが各部まで行き届いており、実際にレースで活躍していたとは思えないほどコンディションは良い。

しかし、跳ね石で剥がれた塗装やボディについたラバーの跡、焼けたサイドマフラーなどを見れば、これまでの激しい戦いが必然と目に浮かんでくる。そしてなんといっても、チャンピオンカーのオーラが全身からみなぎっているのだ。

【画像20枚】公称550ps以上だが、ブースト圧1.3㎏/㎠で約570ps、1.6㎏/㎠まで上げると600psオーバーと言われたRB26DETT型。そのパワーは他を寄せ付けなかった。ラジエーターはカルソニック製の大容量タイプ。手前に配置されているのはオイルクーラーだ


>>室内に張り巡らされるロールケージは、安全性向上とともに強固なボディを作り上げる。ちなみにシートはレカロ製。


>>リアシートのあった場所には、ライフライン製消火システムのタンクが設置されている。フロアトンネル上にあるのは、アテーサE-TSのコンピューター。


>>視認性を重視して中央にタコを配置したメーターパネル。左にアナログのブースト/油圧、右にデジタルの水温/油温計を配置。





日本のレース界をけん引してきた元祖「日本一速い男」

1947年、静岡県で誕生した星野一義。もとはモトクロスライダーだったが、のちに4輪に転向。ハコスカGT-Rでレースデビューすると、その後は順調に結果を残す。76年にスポット参戦したF1日本GPでは、大雨のなか一時3位を走行する健闘を見せた。そして、その速さからいつしか「日本一速い男」と呼ばれるようになったのだ。

また、海外のレースにも参戦し、92年のデイトナ24時間では初出場にして優勝。98年のル・マン24時間では総合3位に入った。現在は「チームインパル」を率いて、スーパーGTやスーパーフォーミュラに参戦。立場は変わっても、そのアツいハートは健在だ。



カルソニック スカイライン

全長×全幅×全高(mm) 4545×1755×1340
ホイールベース(mm)  2615
トレッド前/後(mm) 1610/1530
車両重量(kg)  1250
エンジン型式  RB26DETT型
エンジン種類 直列6気筒DOHCツインターボ
総排気量(cc) 2568
最高出力(ps/rpm) 550以上/7600
最大トルク(kg-m/rpm) 50.0以上/6000
タイヤ 265/700R18(前後とも)


【1】【2】から続く


初出:ハチマルヒーロー2017年1月号 vol.39
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

カルソニック スカイライン(全3記事)

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