波にのりモデルチェンジへ! ハイソカーブームを巻き起こし主導権を握ったマークⅡ3兄弟|MARKⅡ3兄弟の系譜【2】

MARKⅡ3兄弟の系譜

【1】から続く

1980年代に一躍時代の象徴となったGX71・マークⅡ3兄弟。しかし最初から売上が良かったわけではなかった。すでにマークⅡが登場していた1970年代後半、当時主導権を握っていたのがスカイライン、ローレルを擁する日産であった。これに対抗すべく、トヨタはチェイサー、クレスタを発売し、徐々にマークⅡたちが頭角を表した。

【我が名はGX71 純白のボディがもたらしたハイソカーブーム vol.2】

 マークⅡ3兄弟は好調に販売を伸ばし、瞬く間にスカイラインとローレルの牙城を切り崩している。勢いづいたトヨタは、積極的にバリエーションを広げていった。81年に2.0LのM型直列6気筒SOHCターボを仲間に加え、82年には日産のお株を奪う1G‐GEU型直列6気筒DOHC4バルブエンジンを送り込んでいる。

 84年8月、マークⅡ3兄弟は満を持してモデルチェンジに踏み切った。





 5代目マークⅡに与えられた型式はGX71/MX71だ。このモデルからコロナの文字が消え、正式にマークⅡを名乗っている。また、3兄弟はそれぞれの性格を明快に打ち出し、マークⅡは高級ラグジュアリーカー路線へと転換を図り、車格はクラウンに近いものとなっている。マークⅡの主役は、伸びやかなフォルムの4ドアハードトップだ。リアピラーにはクリスタルピラーと呼ぶアクリル製の装飾カバーをはめ込み、2トーンに見せている。これは7代目クラウンが用いて成功した手法だ。

 メカニズムにも見るべきところが多い。トピックは、エレクトロニクス化を積極的に推し進めたことである。サスペンションの主役は、ストラットとセミトレーリングアームの4輪独立懸架で、一部に電子制御サスペンション「TEMS」を採用した。また、電子制御スキッドコントロールの4輪ESCや2モード・プログレッシブパワーステアリングとラック&ピニオン式ステアリングも注目を集めた。搭載するパワーユニットは「レーザー」のニックネームを持つ1G‐EU型直列6気筒SOHCと1G‐GEU型DOHCを中心に、4気筒エンジンも設定。85年10月には高性能な1G‐GTEU型DOHCツインターボも追加した。

 また、ボディカラーにも革命をもたらす。それまでは2トーンのメタリックカラーが好まれたが、ソリッドのスーパーホワイトが大ブレイク。インテリアではシックなワインレッドが人気だ。71系マークⅡは発売直後に1万台の大台を超え、3兄弟では2万台オーバーの販売を記録。マークⅡ3兄弟はハイソサエティカーと呼ばれるようになり、スペシャリイティーカーのソアラ、兄貴分のクラウンとともにハイソカー旋風を巻き起こした。

【画像35枚】3兄弟のライバル車。日産レパードは4ドアハードトップのボディを用意し3兄弟に勝負を挑んだが、やはりマークⅡ3兄弟の前では魅力がかすんでしまった



>>3兄弟のライバル紹介
NISSAN LAUREL|基本設計を共有するスカイラインとのタッグで、70年代はマークⅡを圧倒していたローレル。だが、80年代は勢いに陰りが見え始めた。メッキパーツや内装の仕立てで上質感をアピールしたC32/C33ローレルは、スポーティー色が色濃くなったスカイラインよりもマークⅡ3兄弟のライバルに近いと言える。新開発のVG型エンジン搭載など話題は多かったが、販売面は苦戦。



>>3兄弟のライバル紹介
NISSAN LEOPARD|スカイライン、ローレルに続く新たな上級車として80年にデビューした初代レパード。スペシャリティーカーとしての新たな地位を築いた2ドアハードトップが中心で、ライバル関係として取り上げられるのはソアラだが、4ドアハードトップのボディも用意されており、その点ではマークⅡの市場も狙っていた。しかし、ソアラとマークⅡ3兄弟の前では魅力はかすんでしまった。


【3】へ続く

初出:ハチマルヒーロー 2017年3月号 Vol.40
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

MARK Ⅱ 3兄弟の系譜(全3記事)

関連記事:我が名はGX71

関連記事:ハイソカー

TEXT : HIDEAKI KATAOKA / 片岡英明

RECOMMENDED

RELATED

RANKING