GTS-tなのに、GT-Rボンネット&グリルなのはなぜ?|1989年式 日産 スカイライン GTS-t【2】

GT-Rのボンネットとグリルが装着されるが、グレードは4ドアのGTS-tだ

R32というと、やはりGT-Rのイメージが強い。RB26DETT型という最強エンジンとトルクスプリット型4WDのアテーサE-TSを採用し、レースでは前人未到の29連勝を達成したのだから当然だろう。しかし、2.0Lを中心としたGTS系もさらなる進化を遂げ、多くのスカイラインファンから支持された。

【1989年式 日産 スカイライン GTS-t vol.2】


【1】から続く

 開発コンセプトにある「高質な走り」を実現するうえで、重要な要素となるのがエンジン。バリエーションは従来と同じ直列6気筒のRB型をメインとし、頂点となるRB20DET型はR31からキャリーオーバー。ただし、ハイフローセラミックボールベアリングターボやADポートの採用、過給圧アップにより、最高出力はR31GTS-Rよりもハイパワーな215psを達成したのである。
 また、サスペンションも重要なポイントだ。あらゆる領域でドライバーが意のままに操れることを狙いにした結果、新開発の4輪マルチリンクサスペンションを採用。加えて上位グレードには、従来の4輪操舵システム「ハイキャスⅡ」をさらに進化させた「スーパーハイキャス」を装備。中低速域での回頭性と、高速域での直進性・安定性が高められた。そして、GTS-tタイプMとGTS-4には、アルミ製の前4ポット、後2ポットキャリパーも装着。さらに、タイヤ&ホイールも16インチにサイズアップするなど、いっそう走りを追求した装備が採用された。

 この取材車両は、当時の日産プリンス東京が中古車をベースに独自でドレスアップを施した「P‘sスペシャル」。GT-Rボンネットとグリルが装着されているのは、そのためだ。

【画像17枚】日産プリンス東京の独自仕様「P’sスペシャル」のため、GT-Rのボンネットとグリル、エアロフォルムバンパーを装着。オプションのプロジェクターフォグランプはオーナーが装着した。カラートリムを見れば一目瞭然だが、この個体のもとの色はグレーメタリック(TG0)だった


RB20DET型は、ハイフローセラミックボールベアリングターボやADポートの採用、インタークーラー吸気配管径の拡大やブーストアップなどにより、R31よりも25ps/2.5㎏-m向上した。
>>RB20DET型は、ハイフローセラミックボールベアリングターボやADポートの採用、インタークーラー吸気配管径の拡大やブーストアップなどにより、R31よりも25ps/2.5㎏-m向上した。



R32のリアスポイラーは2種あり、この個体に装着されているのはAタイプ。2ドアはBタイプも選べたが、4ドアはAタイプのみの設定だった。
>>R32のリアスポイラーは2種あり、この個体に装着されているのはAタイプ。2ドアはBタイプも選べたが、4ドアはAタイプのみの設定だった。



購入時からアルミホイールが装着されていてホイールキャップがなかったため、オーナーが入手。中央のエンブレムが取り外せない、R32専用品だそうだ。
>>購入時からアルミホイールが装着されていてホイールキャップがなかったため、オーナーが入手。中央のエンブレムが取り外せない、R32専用品だそうだ。


【3】へ続く


初出:ハチマルヒーロー2017年1月号 vol.39
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1989年式 日産 スカイライン GTS-t(全3記事)

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text:Rino Creative/リノクリエイティブ photo:MAKOTO INOUE/井上 誠

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