グループA参戦のために販売された500台の限定車たち|1990年式 日産 スカイライン GT-R ニスモ【1】

「ニスモダクト」と呼ばれる2つのダクトが空いたバンパー。グリル上部の「フードトップモール」がニスモの特徴となる。またインタークーラーグリルも廃止されている

       
【1990年式 日産 スカイラインGT-R ニスモ vol.1】

R32GT‐Rがレース参戦を前提に開発され、排気量も同じく規定に合わせて設定されたことは、先の基準車GT‐Rのページでも紹介した通り。これほどまでにレースと直結した市販車は過去に例がない。日産が照準を合わせたそのレースとは、ツーリングカー選手権グループA。そこでの絶対的な勝利のために、R32GT‐Rのエボリューションモデルとして1990年2月に500台限定で販売されたのが、GT‐Rニスモである。

 グループAに参戦するには、連続する12カ月間に5000台以上を生産した車両がホモロゲーション(公認)の対象となると定められている。さらに、この規定の中には「グループA公認を受けた車両をベースに改造を施した車両を、年間500台生産すればエボリューションモデルとして公認を下す」という付則が設けられていた。過去にもこのレギュレーションを利用した例はあり、MA70スープラのターボAやR31スカイラインのGTS‐Rがそれだ。それらのエボリューションモデルは、タービンを大型化するなどして最高出力を大幅にアップすることで、戦闘力を高めていた。しかし、GT‐Rの最高出力はすでに280psで、市販車の自主規制いっぱい。つまり、さらなるパワーアップは不可能なのである。では、基準車のどこに手を加えたのか……ニスモが着目したのは3点。それがエアロパーツ、軽量化、そして耐久性だ。

【画像14枚】レースで必要なものを残しつつ、30㎏軽量化を図ったGT-Rニスモ。大きなリアウイングは基準車と同じだが、ニスモはトランクフード後端に直立した小型のリアスポイラーが追加となる




GT-Rニスモのボディカラーはガングレーメタッリックのみ。500台の限定販売に対して購入者が殺到し、抽選となった。
>>GT-Rニスモのボディカラーはガングレーメタッリックのみ。500台の限定販売に対して購入者が殺到し、抽選となった。

何の変哲もないリアウインドーの写真だが、ここに基準車との違いが。GT-Rニスモはリアワイパーがないのだ。基準車をニスモ仕様にしている個体は多いが、リアワイパーレスにしているケースは稀。
>>何の変哲もないリアウインドーの写真だが、ここに基準車との違いが。GT-Rニスモはリアワイパーがないのだ。基準車をニスモ仕様にしている個体は多いが、リアワイパーレスにしているケースは稀。



スカイラインGT-R ニスモ(BNR32)
全長×全幅×全高(㎜) 4545×1755×1340
ホイールベース(㎜) 2615
トレッド(㎜) 1480(前後とも)
車両重量(㎏) 1400
エンジン型式 RB26DETT型
エンジン種類 直列6気筒DOHCツインターボ
総排気量(cc) 2568
ボア×ストローク(㎜) 86.0×73.7
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 280/6800
最大トルク(㎏-m/rpm) 36.0/4400
変速比 1速3.214/2速1.925/3速1.302/
4速1.000/5速0.752/後退3.369
最終減速比 4.111
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション マルチリンク(前後とも)
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 225/50R16(前後とも)
発売当時価格 441.0万円

【2】へ続く


初出:ハチマルヒーロー2017年1月号 vol.39
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1990年式 日産スカイライン GT-R ニスモ(全3記事)

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text:Rino Creative/リノクリエイティブ photo:AKIO HIRANO/平野 陽

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