レースカーが市街地に光臨!? 圧倒的な存在感を放つレプリカ| スカイライン GT-R R32 Vol.1|ハチマルレースモデルの超絶技巧

レースカーが市街地に光臨!? 圧倒的な存在感を放つレプリカ

       
【スカイライン GT-R R32 Vol.1】

サーキットを駆け抜けたハチマル車たち

 グループAから始まりJTCCへと続いた全日本ツーリングカー選手権。その魅力は何といっても、街を走っているクルマがサーキットでバトルを繰り広げるという親近感。グループAにいたっては外観の変更は一切禁止というのだから、ファンはひいきのクルマにより感情移入しやすかった。次々にハイスペックのスポーツモデルが登場した時代ともリンクして、1980年代から1990年代のレースは空前の盛り上がりを見せたのだった。

レースカーが市街地に光臨!?圧倒的な存在感を放つレプリカ

 1989年に、センセーショナルなデビューを飾ったR32GT‐R。16年ぶりに復活した「R」の称号はもとより、モータースポーツで勝つことを念頭に開発された「RB26DETT型」ユニットや、FRを基本としながら路面状況に応じて50対50まで前後のトルクを最適に配分する先進のフルタイム4WDシステム「アテーサE‐TS」など、そのメカニズムにも大きな注目が集まった。さらに、それらのメカニズムの組み合わせによる高いパフォーマンスだけでなく、大迫力のブリスターフェンダーや強力なダウンフォースを得るための大型リアウイング、大量の走行風を取り入れるための大きな開口部を持つフロントバンパーなど、人々を魅了するルックスも話題をさらった。

 グループAの車両規定を徹底的に分析し、市販車として圧倒的なパフォーマンスを誇るGT‐R。それゆえに、モータースポーツでの活躍にも大きな期待がかかるのは当然のことだった。なかでも一番の注目を集めたのが、全日本ツーリングカー選手権(JTC)だ。GT‐Rは圧倒的な強さを示し、1990年第1戦の「オールジャパン・ツーリングカー300kmレース」では、当時圧倒的な速さを誇ったフォード・シエラを退け、デビュー戦ながらワンツーフィニッシュを飾り、周囲を驚嘆させたのである。

 さらに、GT‐Rの活躍の勢いは増すばかりで、全日本ツーリングカー選手権が終えんを迎える1993年末まで、負け知らずの29連勝という金字塔を打ち立てたのだ。なお、ニスモがリリースしたグループA仕様車のプライスタグは驚がくの5500万円。にもかかわらず、GT‐Rのあまりの速さに各チームがこぞって手に入れた。これによりディビジョン1はGT‐Rのワンメイクと化したのは有名な話だ。

 ここに集まったのは、全日本ツーリングカー選手権で活躍したGT‐Rに心底ほれた面々が所有する、グループA車両のレプリカマシンたち。その徹底した作り込みや細部へのこだわりは、もはやレプリカの域を超越しており、本物と見間違えるほどのクオリティーを誇っている。一般人の場合、グループAマシンを所有することはまず不可能。しかしこのようなカスタムを施すことで、あこがれを現実にすることができるのである。
 圧倒的な存在感を放つこれらのレプリカマシンをじっくり見てほしい。当時を知る人はもちろん、スカイラインファンやグループAファンなら、誰しもが見入ってしまうはずだ。

各イベントで大活躍のレプリカ軍団

 今回取材に協力していただいたのは、グループAマシンを忠実に再現し、各イベントなどでもおなじみとなっているレプリカ軍団。ただ、「レプリカ軍団」という実体があるのではなく、あくまでもレプリカを作っているユーザーが共感し、自然とできた集まりだそうだ。

 しかし、今回紹介した4台のほかに、共石やFET極東、HKSやBPなど、当時のグループAシーンを沸かしたGT-Rのほとんどが揃っているというから恐れ入る。また、カルソニックなどは異なる仕様のレプリカが複数台いるなど、その細かさといったらハンパじゃない。今後もその動向に注目しよう。写真は左から、塚本雅彦さん、岡部洋樹さん、雨宮章雄さん。

 各イベントからの出動要請も多々あるというレプリカ軍団。左の写真はスカイラインフェスティバルの模様だが、当時のグリットを再現したり、デモランも行った。ちなみに先頭のカルソニックは本物のグループAマシン


Vol.2、Vol.3、Vol.4、Vol.5、Vol.6、Vol.7、Vol.8に続く


初出:ハチマルヒーロー vol.19 2012年11月号(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)



JTCCへと続いた全日本ツーリングカー選手権のようすなど【写真5枚】


スカイライン GT-R R32 ハチマルレースモデルの超絶技巧(全8記事)


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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo:AKIO HIRANO/平野 陽

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